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CDコンサート~Linn Space Optimisation(2)

9月6日に新さんのOMF_CDコンサートに再び行って来ました。

この日は昨年(2014年)演奏されたベルリオーズの「幻想」の演奏です。

「幻想」の前につい先日(9月1日)に演奏された小澤征爾さん80歳バースデイ・コンサートでのベートーベンの合唱幻想曲も再生してくれました。まさにできたてのほやほやです。この曲のためだけに?マルタ・アルゲリッチがやって来たのでしょうか?

メインの曲として昨年小澤さんが振った「幻想」が演奏されました。ライブで聞いてもここまでは聞こえないと思えるほどベースやティンパニが生々しく聞こえました。

昨年の「幻想」を私はライブで聴いていません。キッセイホールだけでなく他の幾つかのホールでもこのCDコンサートのようにコントラバスが鮮やかに聞こえた記憶はありません。だいたいはコントラバスの音はオーケストラの音と渾然一体となり、存在を主張することはあまり無いと記憶しています。

コントラバスやティンパニが鮮やかに聞こえたのには次の理由が考えられます。

(1) キッセイ文化ホールの特性

(2) 録音の手法やポリシーによるもの

(3) 再生システムによるもの

少し考えてみました。

(1) ホールの特性

私は改修前のキッセイ文化ホールでのサイトウキネンしか聴いていません。したがって改修後のホールでの音は良くわかりません。また全ての音楽ホールはシートの位置によってもかなり音が違うと聞くので、もし改修後のホールで聴いたことがあってもわからないと思います。

私の家内が松本のハーモニーホールでオルガンの練習する時に付き添いで一緒に行ったことがあります。ホールには誰も居なくて家内が一人でオルガンを弾いていました。ちょうど良い機会だと思い観客席の全ての行と列を歩きながら音を聞かせてもらいました。驚くことにどの場所でもほとんど音が変わりませんでした。良くできたホールだと思いました。もちろんオルガンとステージ上の演奏では聞こえ方は違いますし、お客さんが入った時と空の時では違います。それでも「ハーモニーホールは音が良い」といろんな所で聞きますがその理由の一端がわかったような気がします。つまりどの席で聞いても音が良いのです。

キッセイ文化ホールがどの席でも音が良いのかはわかりません。録音用マイクの位置と音を聞く席による音の違いもわかりません。したがってホールの特性かどうかは不明です。

(2) 録音の手法やポリシーによるもの

たまたま私の隣にサイトウキネンのレコーディングのプロデューサーをされている西脇さんがいらっしゃったので聞いてみると「フィリップスは伝統的に低音をしっかり録音するが、今日の演奏は良かったですね。普通の装置ではこうは鳴らせないです。」とのことでした。西脇さんは私とほぼ同じ位置で聞いていたので同じような音が聞こえていたと思います。それで違和感を感じていないので意図したとおりの音が再生されていたと思います。つまり鮮やかなコントラバスはホールの特性と録音ポリシーによるのではないかと思います。

(3) 再生システム

西脇さんから違和感が無いと既に聞いています。これ以上何を書くことがあるでしょう。しかし私にはコントラバスの印象があまりにも鮮烈過ぎました。Jazzの録音のようにベースにマイクを付けてあるかのようでした。本当にこんな音で演奏されたの?という疑問があります。そこで再生系についても考えてみました。

CDコンサートはキッセイ文化ホールの国際会議室で行われました。ホールのサイトを見ると部屋の面積と平面図が公開されていました。面積は426平米、平面図から縦横比をおおよそ1.58と読み取りましたので幅約16m、奥行は約25mです。天井の高さは目分量ですが約9mとしました。スピーカーの位置も撮影した写真から推定しました。その値を有名なStndwave2 という定在波シミュレータで調べてみました。その結果を以下に示します。パラメータは概略なので正確とは言えませんが私の聴いた位置で特に低域が強調されていません。

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アンプやスピーカーで低音を強調していることは考えられないので再生系でコントラバスが強調されたわけでは無いと思います。

以上から考えるとキッセイ文化ホールの特性+録音ポリシーによってあのような凄いコントラバスが再生されたと考えるのが自然です。そしてそれをしっかりと再生したのが新さんのシステムです。新さんが「このスピーカーはここへ持ち込んでから日に日に音が良くなってます。」とおっしゃっていました。まさにその通りだと思います。

あの鮮やかなコントラバスを聴くために今度も我が家で新さんの音に挑戦しないといけないです。大変です。

キッセイ文化ホールの会議室の音響特性を調べているうちにLinnのSpace Optimisationはどうなったかとふと気になりました。私の持っているスピーカーをOptimisationの対応機種にしてもらうようにリクエストしましたが、その後どうなっているのか?久しぶりにLinnのサイトを見ると残念ながらリクエスした機種は対応機種にはなっていません。リクエストが多すぎてエンジニアが対応できないのでしょう。

ちなみにLinnは例によってOptimizationをOptimisationと書いていますね。

しかし対応機種で無くてもOptimisationをできることがわかりました。結局対応機種に登録されているのはスピーカーの低域ユニットの位置とエンクロージャーのサイズがLinnによって測定されてデータベースに載っていることのようです。自分で各種寸法を測定すれば自作スピーカーでもOptomisationをすることが可能だとわかりました。

そこで早速DSのファームウェアなどを最新版にupdateしてOptimisationにチャレンジしてみました。設定に少し手間取りました。スピーカーの位置を入力する欄が2つあります。Ideal positionとPractical positionです。私は部屋の寸法とリスニング位置を入力するとIdeal Positionが自動的に計算されると理解しました。Ideal positionに置けない場合には実際にスピーカーをおいてある位置をPractical positionに入力すると思いました。でもそれではoptimizeされません。

結局、実際にスピーカーを置いてある位置をIdeal Positionに入力するとOptimizeされるようです。以下に暫定的に入力した結果を示します。

Space

まだしっかり理解していませんがこの特性の示すのは26Hzにピークがあるのでそれを消すということのようです。これは部屋の奥行き方向の半波長の周波数のようです。色々と操作してみましたが複数のピークを補正する方法がわかりません。もしかしたら私の機種は古いのでDSPの性能が悪く対応できなののかも?

アキュフェーズのDGシリーズではピークを抑えてディップを持ち上げます。Linnはディップを強調するとアンプやスピーカーが過大入力で歪が増えると主張しています。そのためディップには手をつけません。

以下のような条件で音を聞いてみました。

・複数のピークの中の一つしか補正していない(ようだ)

・ディップの補正はしていない

アキュフェーズのDG-28に近い効果が得られています。すなわち補正する前は雑多な感じだった音楽がすーっと浮き上がってくる感じです。本当に単一ピークしか補正できないかなど設定方法を確認しないといけないですがかなり効果があります。

今回は暫定的に部屋が直方体として最適化をしてみました。しかし実際には天井が傾斜しています。Linnのサイトには直方体でない部屋の補正方法など記述されているので試してみようと思います。

かつて「こんなことができれば良い」と思っていたことがハードを買い換えずにソフトの更新だけでできるようになり凄いです。世界のオーディオはこのような信号処理の方向に向かって動いています。私も以前は信号処理をかじったのでこの分野での開発には興味があります。自分の製品にも取り入れられないか検討してみたいと思います。

セイジ・オザワ CD・LPコンサート

昨年まで「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」と呼ばれていた音楽祭は今年から「セイジ・オザワ松本フェスティバル」と名前を変えました。

総監督の小澤征爾さんはお風呂で転倒して腰を痛めたので残念ながら指揮をすることができません。ジャイアント馬場か?と突っ込みを入れたくなります。(わかる人だけわかればいい)それでも小澤さんは松本入りしてもしかしたら負担のかからない範囲で指揮をするとの話を聞いています。くれぐれも無理をしないようにしてください。

例年、新さんがオーディオ装置を持ち込んで素晴らしいレコード・コンサートをしてくれます。今年も8月28日から9月6日まで松本市のキッセイ文化ホールで開催されています。

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私は本日(8月29日)CD・LPコンサートを聴きに行って来ました。今回の目玉はなんと言ってもGIPラボラトリーのスピーカーです。ウエスタン(WE)を復刻した現代版フィールド型スピーカーです。

http://www.gip-laboratory.com/home.html

昨年の真空管オーディオフェアで聴きましたが出展の合間に抜け出して最後尾でちょっと聴いただけなのでよくわかりませんでした。今回は昨年聴いた機種よりもグレードが上の機種で新さんによると800万円くらいだそうです。GIPラボラトリーから貸してもらったそうです。松本でこのような貴重な装置の音を聞けるのは新さんのおかげだと思い改めて感謝します。

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また従来はCD再生のみでしたが今年はレコードの再生も行っています。そのためプリアンプには下の写真のものを使っていました。自作マニアのために(?)上の蓋を開けてくれています。

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今日は小澤幹雄さんが持参したJazzのレコードを解説付きで聞かせてくれました。新さんはレコードをかける作業に集中しています。

演奏したレコードは古いものが多く、最初のJazz録音と言われるODJB(オリジナル・デキシー・ジャズ・バンド)から始まりベニー・グッドマン、ビリー・ホリデイ、チャーリー・クリスチャン、ベイシーとエリントンなど古い演奏を主体に聞かせていただきました。最も新しいものでもカーティス・フラーやドナルド・バードであり私にはぴったりで小澤さんの解説にうなづきながら楽しみました。でもマイルス・デイビスなどがあっても良かった?とおもいました。きっと来年の続編でやってくれると期待しています。

ビリー・ホリデイ、ベニー・グッドマンなどは音が非常に生々しく素晴らしかったです。とくにサックスが空間に漂う様子は背筋がぞくっとするように感じて恐れ入りました。

休憩中に小澤さんと話をしました。小澤さんは油井正一さんの本や放送をもとにご自分の体験を肉付けされて話している言われてました。私もJazzを聴き始めた頃雑誌やFM放送で油井さんの話を読み・聞いてJazzを学びました。油井さんの話は本当に講談みたいに面白かったですねえ などと話をさせていただきました。

小澤さんは油井さんからJazzを学んだと話していましたが私もそうです。・・・とすると小澤さんは兄弟子?

今までこのレコードコンサートではサイトウ・キネンの演奏が主体でしたが今日はJazzを聴くことができて非常に楽しかったです。それも油井さんトリビュートのようなコンサートで本当にうれしかったです。

ところでコンサートのパンフレットを見ると新さんは「戦後70年を機に昭和天皇の「玉音放送」音盤の復刻を担い、先日、NHKで放映された。」と書いてあります。天皇の玉音放送をダイレクト・トランスファー・シリーズと同じシステムでディジタル化したんですね。

私は以前から何故日本が戦争をしたかを知るために太平洋戦争前後の歴史書を読んでいます。最近は新しい資料が公開されたこともあるので昭和天皇や終戦に係る本を読んでいます。この所の安保法をめぐる動きも気になります。そのようなことを含めて新さんが玉音放送の復刻をされたことがものすごく印象に残りました。

玉音放送は非常に重要な歴史的な物であり今まで録音という技術的な観点から考えてみたことが無かったですね。技術的にはどうなのかと新さんに今度お会いしたら聞いてみたいです。

今年の真空管オーディオフェア

昨年の真空管オーディオフェアに出展しました。

会社勤めの時にはショーの説明員を何度も経験しましたが自分の事業で行うのは初めてで、お客様の意見を直接聞くことができ関係者の方々と知り合いになることもできました。本当に良い経験で大きな収穫がありました。

今年の真空管オーディオフェアにも出展しようと思っていましたが見送ることにしました。

残念ながら新製品が間に合わなかったからです。スピーカー切替器をスピーカーメーカーさんと協同で出展することも検討しましたが相互に効果的なデモができないこともあり断念しました。

来年は新製品を間に合わせて展示できるようにしたいと思います。

検討中の製品はパワーアンプです。いま販売中の製品はプリアンプとスピーカー切替器です。ですから次はパワーアンプです。アンプのターゲットは現在使っているWestlakeのスピーカーを鳴らしきることです。このスピーカーの能率は97dB/W/mと高いのですが公称インピーダンスが4Ωで最低インピーダンスは2Ω近くまで減少するのでドライブがかなり難しいスピーカーです。BoulderのアンプがWestlakeにはベストマッチと言われていますがBoulderのアンプはとても高価で買うことができません。これを超えるアンプを作りたいと考えています。

今までのアマチュアとして何台ものパワーアンプの設計をしていますがその時は気楽でした。今は市場に山ほどあるアンプを凌駕しないとならないので苦労しています。設計にあたり基本的な部分から勉強しなおしています。アンプの技術の基本的な部分、すなわちエミッター接地だとかゲインの計算方法だとか負荷線の引き方などはオーディオ誌や単行本に書かれています。しかし基本設計をプロフェッショナルレベルに持ち上げるような技術論を書いた文献はあまりないようです。多分そのような技術はオーディオメーカーの企業秘密であり簡単に公開できないと思います。そうかと言ってオーディオアンプの設計方法は大学などのでの研究対象ともなりません。この部分を勉強していますが私が知らなかったことがかなりあり本当に役にたちます。

学生ではないのでいつまでも勉強していてもしょうがないのですが、パワーアンプはプリアンプなどと比較すると製造原価がはるかに高いので慎重に進めたいと思います。物を作ることも大事ですが作る前の検討・設計でできる限り完成度を上げたいと思います。ちかいうちに評価用の試作をしたいと思います。

オルガン・ビルダーがやってきた!

松本のザ・ハーモニーホールで開催されたオルガンのコンサートに行ってきた。

第一部 大公開 オルガンのひみつ

第二部 2台のオルガンの競演

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第一部ではオルガンビルダーのマテューがオルガンを全て分解した状態から構造を説明しながら公開組み立てを行った。初めての体験で非常に面白かった。

組立て途中にパイプに口を当て息を吹き込んで音を鳴らせてみせたのは興味深かった。フルー管やリード管のどの部分から空気を送り込み音を出すのかが良くわかった。

フルー管はまさにリコーダーと同じ構造だ。リコーダーの吹き口に相当する部分から空気を吹き込む。リード管は通常のクラリネットやSAXではリード部分に空気を送り込む。一方オルガンではリードと逆の方向から空気を送り込むとリードが振動する。

以前オルガンの構造に興味を身って少し調べたことがあるがイメージをつかんだだけだ。今回その構造を目の当たりにできて非常に面白かったしその時には漠然としていた構造が良くわかった。

組み立て終わるとチューニングを行った。チューニングには何時間もかかると思ったら数分で終了した。チューニングにはオリジナルのチューナーを使ったがチューナーはかなりの優れもので非常に興味深かった。

もの作り的な視点から見ると以下のような点が非常に参考になった。

・内部構造がすごい

直方体の小さな空間に204本のパイプとそれを駆動するための機構を相互に干渉しないように実に巧みに組み込んでいる。しかもただ詰め込むだけではなく音を考慮している。

・保守性が優れている

1時間ほどの間にステージ上で説明しなながら組み立てを行った。そして調律までやってしまう。(厳密にはその後の15分かけて最終の組み立てと調律を行ったが1時間でも1時間15分でも同じようなもの)簡単に分解し、修理し、再び組立てることを考えて設計されている。例えが適切かわからないがどんな条件下でも簡単に分解・掃除ができる軍用拳銃のような感じだ。

第二部は組立てたばかりのオルガンとホール常設の大オルガンを使っての演奏。ホールのオルガニストの原田さんとゲストの岡本さんが連弾や大・小オルガンのアンサンブルをし気持ち良い音楽を聴かせてくれた。

小型のポジティフオルガンが意外にボリュームたっぷりな音量でびっくりした。

またポジティフオルガンで演奏した モーツアルトの「自動オルガンのための幻想曲」は音色が本当に良い雰囲気だった。

大オルガンで足だけ使う演奏では足元をカメラで撮影してプロジェクターに映してくれたので非常に良かった。

演奏終了後は我々来場者がステージに上がりポジティフオルガンを近くで見るこができた。

その際マテューに鉛を(金属パイプは鉛と錫の合金。鉛を大量に使用している)使ったオルガンをヨーロッパで販売できるか聞いてみた。全然問題ないとのこと。

調べてみたらRoHS指令は電気・電子機器だけでその他の製品には適用されていないようだ。PoHS指令は大量生産され製品寿命の短い製品にのみ規制をかけるもののようだ。少量生産で寿命が長いオルガンのようなものは対象外だ。

仮に網羅的に規制をかけるとしてもヨーロッパの伝統的なオルガンに対してEUは規制をかけないだろう。

鉛フリーオルガンでは笑えないし、どんな音がするか想像したくもない。