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Linn Klimax Solo 800

Linnからフラッグシップのモノラルパワーアンプが発売されます。
ペアで1,540万円という超弩級のパワーアンプで、私には全く縁が無い製品です。

それでも興味があり製品紹介を読んでみました。
その中にAdaptive Bias Controlという言葉があり、読み進めてみると以下のような内容でした。

・AB級パワーアンプでは製造時に1度だけ出力トランジスタのバイアスを設定する。しかし使用している時には温度、部品の劣化やバラツキにより理想的なバイアス電流からはずれてしまう。
・そこで出力トランジスタのバイアス電流をリアルタイムに測定してFPGAで信号処理を施し出力トランジタのバイアスが最適値になるように制御する。
・この技術によって、AB級アンプにおいて避けられない問題を完全に解決した。

かなりびっくりしました。
この技術を搭載するパワーアンプをかつて開発していたからであり、それはActive Bias Control 以外の特徴も含めて製品コンセプトはKlimax Solo 800と非常に似通っていました。

私の場合、適応型バイアス制御に関してはほぼ完成していました。(制御プロセスの高速化が必要でその対応が必要でしたが)結果的にはパワーアンプを製品化しても利益が得られる見込みがなく製品化を断念しました。

当時、適応型バイアス制御の特許を申請しようと思い先行技術の調査をしましたが類似の技術が見つかりませんでした。世界初の技術かと喜ぶと同時にあまり効果がある技術ではないかもしれないと不安にも思いました。それでも製品化に向けて開発し特許の明細書も作成しましたが、上記の通りあきらめた次第です。特許を出願することなく終わっています。

AB級アンプにはスイートスポットとも言うべき最適なバイス電流(実際は電圧ですが)が存在します。この最適値を常に保つとパワーアンプの中で最も歪が大きい出力段の歪を減らすことができます。(出力段より前の入力段と電圧増幅段の歪は非常に少なくすることが可能です)
これが私が技術開発したモチベーションです。Linnもおそらく同じだと思います。
私とLinnの実現方法が同じなのかはわかりません。

当時私が考えた方法を簡単に説明します。

パワーアンプがスピーカーを信号によって駆動している時にどのようにバイアス電流(無信号時の出力トランジスタの電流)を測定するか?

パワーアンプの出力電圧が0Vの時に出力トランジスタの電流を測定できればそれがバイアス電流です。
パワーアンプの出力電圧と出力トランジスタの電流をADコンバータで測定し、出力電圧が0Vの時の電流を測定します。そのためには高速のOPアンプやADコンバータが必要ですが、速度に限界があるので統計的な手法を使いAD変換したデータから無信号時のバイアス電流を推定するアルゴリズムを考えました。
得られた結果によりDAコンバータでバイアスの制御を行います。またパラレル接続の出力トランジスタの制御は、加算回路で各トランジスタのバイアスの平均値を求めて制御しました。

多分Linnの場合は物量作戦で超高速AD変換器をトランジスタ毎に設けていると思われます。
制御方法に関しても様々な手法を試して最適バイアス値の±1%以内に収めることができました。制御がはずれて暴走した時の安全対策も含めてかなり苦労しました。

私にとっては幻と消えた技術ですが、Linnが同じ技術を製品化したことは私の目のつけどころが間違っていなかったので非常に嬉しいです。バイアス制御により、音質がどの程度改善するか実際に聴いてみたいと思います。





スピーカー切替器 Ver.2 最終ロット製造

スピーカー切替器は長らく製造できない状態が続いていました。
一部のパーツの在庫はありましたが、スピーカーの切替に使うMOS-FETなどのキーとなる部品が入手できないのがその理由です。

半導体不足の原因はさまざまな要因が重なったためで、私のような少量生産の業者には部品が回って来ませんでした。
半年ほど前から漸く部品が手に入るようになりましたが、価格がかなり高くなってしまいました。為替レートや価格動向を見ながら部品を購入しました。

在庫のある部品もあるため、販売価格は以前と同じに設定します。

今までカスタム品の開発・製造などに取り組んでいました。これからはオリジナル製品の開発に取り組みたいと思います。

ピアノの巨星が去って行く

私がJazzを聴き始めて間もなくチック・コリアのReturn To Forever(RTF) がリリースされ一世を風靡しました。私もLPを購入し何十回と聞きました。初めて聞いた時には鳥肌がたつような興奮を覚えて完全にその音楽の虜になりました。その後も彼は様々なスタイルや編成でレコードをリリースしました。またRTF以前のサークル、ARCやNow He Songs Now He Sobs なども遡って聞きました。彼はアコースティック楽器、電子楽器など様々なスタイルで演奏しますが底流にはラテン調、スパニッシュ調のメロディとリズムが流れていることが特徴的です。

惜しくも昨年の2月に亡くなってしまいました。彼のコンサートを何回か聞きにいきました。松本市の ハーモニーホールでのソロコンサートの時、彼は演目をメモした紙をピアノの譜面台に置いてそれを見ながら演奏していました。

演奏が終わるとそのメモを折って紙飛行機にして客席に飛ばしました。幸運にも私がその飛行機をキャッチして持ち帰ることができました。そのメモはどこかにある筈ですが見つかりません、、

その前年2020年3月にはマッコイ・タイナーが亡くなりました。彼はジョン・コルトレーン・カルテットのピアニストとして活躍し、コルトレーンの死後アフリカ回帰の音楽、壮大で骨太な音楽を展開していました。彼のコンサートも何回か聞きに行きました。非常にエネルギッシュで汗が飛び散るような演奏でした。晩年の音楽をしっかり聴いていなかったのでこれから聴こうと思います。

キース・ジャレットは健在ですが脳卒中のため演奏がままならないと聞いています。初めてキース・ジャレットのソロピアノ(3枚組)がリリースされた時、Jazz誌上でこの演奏はJazzか否かという論争が繰り広げられました。うろ覚えですがJazz派の油井正一氏が「この演奏にはJazzの賦質がある。みなさん財布を持ってすぐレコード店に駆け付けなさい」みたいなことを書いていて、私もレコード店に駆け付けた思い出があります。当時の学生には非常に大きな出費で大変でした。でも油井さんの言葉が理解できました。

彼ら以外にも偉大なピアニストは多くいますが、私がJazzを聞き始めたころ強く影響を受けその後も聞き続けたピアニストがこの3人です。彼らはスタイルが異なりそれぞれ三角形の頂点に位置していて、その三角形がJazzを包含しているように感じます。彼らの演奏を録音でしか聴けなくなってしまったことは残念です。

彼らの古い演奏を聴くと私の青春に帰ることができます。個人的にも思い入れがある素晴らしいピアニストです。

少しノスタルジックな気持ちになりました。

 

Livingston

以前スコットランドのLivingstonという街に住んでいました。早いもので日本に帰ってから10年以上経ちました。

最近この街のことを思い出す出来事がありました。

1. 北京パラリンピック

女子のアルペン チェアスキーで村岡選手が大活躍しました。2大会連続で、また東京パラリンピックから十分な準備期間が無いのに素晴らしい結果を残しました。

村岡選手と同じ種目にイギリスから出場したShona Brownleeという選手がいます。彼女は私がスコットランドに住んでいた時の家内の友人の娘さんです。友人からShonaのことを聞いていました。ホルンをやっていましたが楽団で安定雇用されず苦労していました。その後RAF(イギリス空軍)のバンドに就職が決まりました。RAFのバンドの演奏を何度か聞いたことがありますが非常にレベルが高いです。友人はもちろん私達も非常にうれしく、誇らしかったです。

しかしShonaは入隊からしばらくして訓練中に足のケガをしてしまいました。最初は捻挫程度と思っていましたが回復しないので様々な治療を試みました。結局義足にせざるをえませんでした。そのことを聞いたときは非常に辛かったです。

その後、友人からShonaがリハビリの一環としてスキーをしていると聞きました。それはたった3年前のことです。それまでShonaはスキーをしたことが無かったそうです。しかも足のケガをしたのが30代後半です。そのShonaがパラリンピックに出場したのです。友人は娘のShonaをリスペクトしていると言っています。もちろん私達もShonaのことを本当に凄いと思い尊敬します。

友人の住んでいるところ すなわちShonaの出身地はLivinstonです。

2. サッカー

私は松本に住んでいるので松本山雅を応援しています。昨年はまさかのJ3降格で意気消沈しています。松本山雅と言えば前田大然です。前田大然はスコットランドのセルティックに移籍して活躍しています。私がスコットランドに住んでいた時には中村俊輔がセルティックで活躍していました。俊輔が日本に帰る時に領事館主催のお別れパーティに招待されましたが、私もスコットランドとお別れする時であわただしく出席することができませんでした。今でも残念です。

前田大然を含め多くの日本人選手がセルティックで活躍しています。大然が3月6日に5試合ぶりの得点を決めました。相手のチームはLivingston??? ひょっとして私が住んでいたLivinston?調べてみるとそうでした。私がLivingstonに住んでいた時にもチームがありましたがほとんどアマチュアに近いチームでした。当時のカテゴリを知らないのでよくわかりませんがセルティックやレンジャーズと戦うレベルのチームでは全くありませんでした。よく買い物に行ったショッピングセンターの近くに競技場がありましたが小さくて入場数も数千人くらいではなかったでしょうか?そのチームが今はスコットランドのプレミアシップで戦っているとは驚きました。松本山雅が地域リーグからJFL、J2、J1へと駆け上がった歴史と重なります。

何故か今週はLivingstonを思い出す週になりました。

612Aエンクロージャ

 モノラルシステム用に10年以上前に604-8Gを1本譲ってもらいました。これは 1本のみ、ネットワーク無しだったので格安で入手できました。自作の箱や平面バッフルに取り付けて聞いていましたが、やはり正式な箱に取り付けて聞いてみたいと考えていました。そして平面バッフルは場所を取るし不安定です。

 箱作りを始めました。604のエンクロージャは612A、612C、620Aなどありますが620はサイズが大きく重いので除外します。604と言えば銀箱と呼ばれる612Aがスタジオモニターとして広く使われていたので作るならこれしか無いでしょう。

 612Aの図面を入手すべくネットで検索してみました。612Cの図面は容易に見つかりますが612Aはなかなか見つかりません。

 漸く見つけましたが図面の寸法や文字が不鮮明で判読するのに苦労しました。

 図面が掲載されていたサイトによると612Aはアイコニックのエンクロージャと同じものだそうです。言われてみればアイコニックと612Aは似ています。今まで気が付がつきませんでした。

 アイコニックは1937年にランシング社によって開発された映画館向け2wayシステムです。それ以前のウエスタンや自社製のシャーラー・ホーンなどのスピーカーよりはるかにコンパクトなのに高性能なのでかなり売れたそうです。

 1945年に604が発売され、アイコニックの箱に入れたものが612システムと呼ばれたそうです。これに先立つ1941年にアルテック社がランシング社を買収しアルテック・ランシング社になっています。ランシング氏が開発した604を8年前に自分が開発したアイコニックの箱に収めて612システムができたのでした。

 ちなみに、612Cと620Aは612Aの発売から30年後の1975年に上市されました。1950~1960年台にはモニタースピーカー市場を独占していた612システムですが、1971年にJBLの4320がリリースされると、4320の時代にマッチした性能によりALTECのシェアが徐々に切り崩されてきました。

 それに対抗するために612Cと620Aが発売されたと推測します。612Aは板厚が薄く箱鳴りがするので電子楽器が台頭してきたロックやJazzのソリッドな音のモニターには難があったと思います。おそらく612Cは612Aとの置き換えのためにサイズの互換性を保ちながら強固な箱でパルシブな音の再生を目指したものと思います。620Aは互換性を捨ててより広い周波数帯域を目指したものだと思います。

 今、気が付きましたが4320と612のサイズはほぼ同じです。JBLはモニター進出の第一歩として612の置き換え需要を狙って実績を作ろうとしたのですね。

 話が横道に逸れてしまいました。なんとか612Aの図面を入手したものの、米松合板が入手できません。ウッドショックの影響です。建材として使われる12mm厚の在庫はありましたが、箱に使う板厚はほぼ入手不可能でした。そのためシナ合板で作ることにしました。

 下の写真は形ができた状態です。スピーカーをサブバッフルに取り付けて、それをフロントバッフルに取り付けますが、その寸法や構造が分かりにくかったです。

 組みあがりました。ネットワークが無いのでマルチアンプで聞いています。いずれネットワークを作るか、マルチで行くか決めていません。良い音だとは思いますが、オリジナルの音を聞いたことが無いので本来の音を出しているか残念ながらわかりません。またモノラルなので評価が難しいです。古のスタジオを想像しながら自己満足の世界に浸ろうと思います。

 塗装はまだしていません。塗装をすれば音が今より締まると考えています。 銀箱のようにハンマートン塗装をしたいですが、時間が無くしばらくこのままで聞くことになりそうです。

 

薪ストーブを入れ替えて

長らく愛用したバーモント・キャティングスのアンコールからダッチ・ウエストのエンライトに昨年入れ替えました。

ほぼ1シーズン使った感想をまとめてみます。

(1) デザイン
赤いホーローで仕上げられた華麗なアンコールに比べると、無骨な黒い鋳鉄製のエンライトは明らかに見劣りします。アンコールが良すぎたので比べるのが酷というものでしょう。でもエンライトもThe・薪ストーブという感じでこれはこれで安心できるデザインです。

(2) 薪の入れやすさ
アンコールはストーブ上部のリッドを開けて薪を入れます。立ったままで薪をいれることができ、非常に楽です。一方エンライトはしゃがんで、前面または左の扉から薪を入れる必要があります。腰や膝への負担が大きいです。アンコールの方が断然良かったです。

(3) 点火のしやすさ
両者とも同じです。

(4) 煙の出方
アンコールは着火直後~通常運転中を通して煙突から煙が出ずご近所に迷惑をかけない優等生でした。交換する直前は着火直後に煙が出るようになりました。エンライトはまだ最適な運転方法をマスターできていないこともあり、着火直後に煙が出てしまいます。試行錯誤して良い方法を見つけたいと思います。

(5) 燃費
カタログデータも実使用でもアンコールが優れています。感覚的にエンライトはアンコールより約1~2割薪を多く消費します。しかし我が家は昨年内窓を追加して断熱性が非常に高くなったこと、このシーズンが暖冬だったこともあり薪の使用量は減りました。
もう一つ、アンコールは空気の供給量を絞ると薪が長持ちしますが、エンライトは空気の供給を最小にしても薪が比較的短時間で燃えてしまいます。調整により改善するかもしれませんが。

(6) 灰の捨て方
どちらもストーブ本体で燃やした薪の灰が本体下の灰受け皿にたまります。アンコールは受け皿が手前に開き戸のように出てきます。皿は本体に固定されているので皿が落ちる心配はありません。一方エンライトは皿を本体から引き出します。机の引き出しのように本体から分離します。何100回も何1000回も灰捨てをするといつか皿を落としてしまうのではと心配になります。アンコールのほうがフェールセーフにできています。

(7) 保守性
エンライトを選んだ理由の一つがこれです。まだ保守をしていないのでわかりません。この春~夏には概要がわかると思います。しかし最低5年位使わないと本当に保守性が優れているかはわかりません。

以上のように私にとってやはりアンコールは最高でした。エンライトはアンコールと比べると不便です。しかしエンライトの導入を後悔してはいません。
薪ストーブそのものが現代の暖房に比べたら不便この上ない存在です。CDやネットワークオーディオの時代にアナログ・レコードを楽しむようなものです。
アンコールとエンライトの優劣のあら捜しをするのは「50歩100歩」、「目くそ鼻くそを笑う」、「どんぐりの背比べ」です。エンライトの無骨さを楽しみながら長く付き合って行きたいと思います。

スピーカー切替器 再発売(2)

音工房Zさんからのオファーをいただきスピーカー切替器 Ver.2の開発と製造を行いました。昨年12月に初回ロットを出荷し、1月、2月と立て続けに出荷しました。音工房Zさん向けの製造に注力していたので、他には手が回りませんでした。

注文を頂いた分の製造の目処がつき漸く直販の準備にとりかかることができます。

Ver.2の仕様について説明します。変更点は以下の表の通りです。これら以外は変更ありません。

ユニット項目Ver.1Ver.2
SSP-01歪率(定格出力時)0.0050%0.0025%
SSU-01オン抵抗12mΩtyp6.5mΩtyp

SSP-01では、信号経路に使用している抵抗を高性能薄膜抵抗に変更し、性能向上を実現しました。それ以外に信頼性と作りやすさの向上のために基板の変更を行いましたが、仕様には影響ありません。

SSU-01では、スイッチ用のMOS-FETの変更、基板レイアウトの変更などを行いオン抵抗を約1/2にしました。

MOS-FETのパッケージは従来品では下の写真の左のD2PAKでした。Ver.2では写真右のD2PAK-7と呼ばれるパッケージのMOS-FETを使用しています。写真でわかるようにD2PAKはソース端子が1本ですが、D2PAK-7は5本あるので中のシリコンの性能が同じでもデバイス全体のオン抵抗を小さくできます。Ver.1を開発した当時もD2PAK-7パッケージはありましたが価格が非常に高く採用するのは非現実的でした。しかし今はD2PAK-7も使用可能な価格になりました。Ver.2で使用したMOS-FETのオン抵抗はVer.1で使ったそれの約1/3です。シリコンチップの性能向上もありますが、パッケージの違いが大きいと思います。

Ver.2で採用したD2PAK-7
Ver.1で使用したD2PAK

MOS-FETの変更に加えて、基板のレイアウト変更と内部配線のワイアーの変更を行いました。 

Ver.1開発時、最適だと考えた基板のレイアウトですが、その後改善の余地があることがわかり変更しました。変更により基板の配線抵抗が減ると同時にチャンネル間の抵抗値の差を減らすことができました。

また、従来は太いワイアーでは配線が困難なため、十分太いワイアーを使用できませんでした。Ver.2開発にあたり音質が良く柔軟性が高いワイアーを見つけました。そのため配線の抵抗も低減できました。

コストをかければさらにオン抵抗を下げることは可能です。しかしコストと性能のバランス、そしてシステムの中で切替器のオン抵抗がどの程度であるべきかを考えるとVer.2の仕様は程よいと考えています。

これからVer.2の製造、サイトの変更など行います。4月を目標に販売開始できるようにしたいと思います。

スピーカー切替器 再発売

能率補正機能付きスピーカー切替器を音工房Zさんとソフィソナント・オーディオから販売することになりました。12月から販売開始の予定です。経緯は以下の通りです。

音工房Zさんで私どもの切替器を使っていただいています。能率を補正する機能が音工房Zさんのスピーカー開発の工程にマッチして使っていただくことになりました。今は音工房Zさんにとって必要不可欠な装置だと評価していただいています。

また音工房Zさんが所有されているA社のプリアンプとSSP-01の間に音質の差がほとんど無いのでSSP-01を主なプリアンプとして使用されているとのことです。

音工房Zさんの試聴会やメルマガなどで切替器を知った方々から当方に引き合いがあり切替器を購入していただきました。

そのおかげもあり昨年、切替器が完売しました。その後、再製造するつもりはありませんでした。一部の部品のディスコンにより基板の設計変更が必要な上、部品の価格が非常に上昇したので(日本は安倍政権の公約であったデフレ脱却がいまだにできませんが、世界はしっかりインフレ状態だとわかります)これ以上の販売は困難だと考えました。

そんな折、音工房Zさんのメルマガに「切替器の能率補正の最小単位が1dBなのでスピーカーの音圧レベルを完全に合わせられない。もっと細かく補正できれば、、」という趣旨の記述がありました。商品の満足度がいまいちだと思う反省と、音工房Zさんの紹介で切替器が販売できたことのお礼の意味で0.5dBステップで能率補正ができるファームウェアへの改造の提案を行いました。現在音工房Zさん向けカスタムの0.5dB改造品を使用していただいています。

音工房Zさんと0.5dBステップの改造について打ち合わせをした際、音工房Zさんから切替器を販売したいとのオファーをいただきました。前述のように再製造の予定はありませんでしたが検討をしてみました。設計変更が必要なうえ、部品コストが上がるので製品価格が上昇します。それでも代替品を使って製造が可能との結論を得ました。これらの情報を音工房Zさんにお伝えして相談した結果再製造することに決めました。

現在製造に向けて準備中です。どのみち基板変更が必要なので特性改善を行います。外観は従来品と全く同じですが中身は違います。したがって再発売する製品は能率補正機能付きスピーカー切替器Ver.2とします。

変更内容を説明します。

SSP-01:

信号経路の抵抗を高音質品に変更し音質と特性の向上を行います。従来品の音質も他社のプリアンプと比べてひけをとりませんが、もう一段音質の向上を目指します。

SSU-01:

従来品よりオン抵抗の低いスイッチ素子の採用、基板のレイアウトの最適化、配線材の見直しなどにより切替器のオン抵抗を低下させます。現行品のオン抵抗は12mΩtypですが10mΩ以下に減らします。

現在でもスピーカーケーブル、スピーカーの内部配線、コネクタの接触抵抗などの抵抗値の合計に比べると切替器のオン抵抗は誤差範囲かもしれません。しかし抵抗値を下げることにより切替器を挿入する影響が確実に減ります。切替器の存在が消えてトランスペアレントな状態に近づきます。

SSP-01、SSP-1とも回路の変更は多くありません。しかしSSU-01の基板のレイアウトが大きく変わります。いきなり製品を量産するのはリスクがあるので試作品を作りました。

SSP-01 基板の変更はほとんどありませんが、信頼性と作業性の向上を図りました。
SSU-01 基板レイアウトを大きく変更しました。基板と端子間の配線も見直しました。

特性を測定した結果、設計目標を達成できそうです。評価した台数が少ないので量産品のデータを測定して仕様を決定する予定です。

肝心の音質ですが、一聴して音の鮮度・生々しさが向上しました。音質向上の要因がSSP-01とSSU-01のどちらにあるのかまだ確認できていません。また試作品を数日間使用した後では音の印象が少し変化して現行品との差が少なくなったようです。今は量産の準備が忙しくてじっくり音質を評価できませんが、少なくとも切替器Ver.2は現行品より音質が良くなっていると思います。

このように切替器Ver.2の製造に注力しています。パワーアンプの開発は中断しています。パワーアンプの仕様を根本から見直せという悪魔のささやきが最近聞こえてきます。実際、パワーアンプの仕様は技術的に非常に背伸びしたものです。またロジスティック的にも問題があります。試作品の動作確認をするためだけで非常に大きなスペースを占有します。もし量産するとしたら、我が家はどうなってしまうのか??切替器Ver.2の量産出荷ができたらしっかり考えてみたいと思います。

なお、MJ誌11月号で音工房Zさんが紹介されています。

マイナポイント

マイナンバーカードを持っているとマイナポイントが貰えるそうです。少しわかりにくいですが、説明を見ながら手続きを始めました。マイナポイントをもらうには、総務省のアプリを使って”マイナポイントの予約”を行い、その次にキャッシュレス決済の会社にマイナポイントの登録の手続きを行います。その後、期間中に登録した会社で決済を行うと、その決済会社からポイント(最大5,000円分)が還元されるそうです。

手続きを始めましたが、マイナポイントの予約にはマイナンバーカードのチップ(Felica)と通信できるスマホが必要なことがわかりました。私のスマホはFelica対応ではないのスマホから予約ができません。

PCでもマイナポイントの予約が可能です。私はマイナンバーカードのリーダを持っています。PCで予約をしようと思ったら、Internet Explore11が必要だそう。今どき IE11??? びっくりしました!!! いつものことながら、国のITは利用者の心を逆なでします。

普通ならIE11をインストールして手続き終了後にアンインスートールしますが、偶々スマホの機種変更を今月するので、変更後手続きをする予定です。マイナポイントの上限が5,000円なのであまり工数をかけたくありません。

特別定額給付金では、マイナンバーで申請したほうがかえって手間がかかり、オンラインでの申請を中止した自治体が続出したそうです。幸い私の場合はオンラインでスムーズに請求できました。

6月で終了したキャシュレス決済の還元でも決済手段によっては、還元されたポイントを使えるようにするためにインターネット上で手続きが必要で、しかも他のキャッシュレス決済手段にチャージする必要がありました。政府から出てきた還元事業は決済業者にとって晴天の霹靂で対応に苦慮した結果だと思います。

私は多少コンピュータやITの知識はあるつもりですが、国のシステムを使う時にはいつも苦労します。それぞれのシステムがバラバラで都度インストールしないとならず、UIも全然違います。使う際には時間を使うので利用者の生産性が低下します。申請ができればまだしも PC、スマホになじみが無い方は制度の恩恵を受けることすらできません。

実際に手続きをして実感しましたが、経済対策のために利用者に多大な不便を強いています。キャッシュレス決済会社や窓口になる自治体等も本来なら必要ない余分なコストが発生します。 国がIT化する目的は利用者の利便性が最優先でなく、IT化の実績と国の利便性のほうが重要だと思えるほどです。

給付や還元とは違いますが、e-Taxも同様です。私は使いにくいシステムに悩まされながら数回利用しました。しかし使うメリットが無く今は使っていません。 e-Taxで申告が完結すれば良いのですが、添付書類を税務署に郵送または持参しないといけないからです。それなら申告書一式を郵送しても変わりありませんしそのほうが楽です。(今年からe-Taxを使わないと控除額を減らすそうです。 ペナルティを課して使いにくいシステムを無理やり使わせるのではなく、誰もが喜んで使うシステムにすることが本道だと思います。このことからのシステムが利用者の利便性を考えていないことが推察できます。)

私の想像ですが、官僚は法律を作るのは得意ですがシステムを作ることは慣れていません。結局丸投げします。発注先は利用者の利便性より利益第一ですから今のようなシステムが出来上がっても不思議ではありません。

給付型の経済政策は必須ですしそのためのシステムが必要です。しかし、マイナポイントのような還元型の経済対策を実施し、システムを開発することは無意味だと思います。むしろ消費税を減税するほうが経済対策として効果があり、無駄なシステムが不要で、消費者は何の手間もかかりません。

ちなみに私が住んでいる松本市がプレミアム商品券を販売します。1枚あたり3,000円のプレミアムがつき最大5枚まで。抽選なので購入できるとは限りませんが15,000円の得です。往復はがきで申し込みます。 一方のマイナポイントはアプリをインストールしてスマホを買い替えて(たまたまですが)などなど面倒な手続きをして5,000円の得、、、

薪ストーブの入れ替え

25年ほどお世話になったバーモント・キャスティングスのアンコールは非常に素晴らしいストーブですした。しかし、メンテナンスが大変になってきました。

ストーブには薪を効率的に燃やすための触媒があります。触媒の掃除の際、触媒を覆うパーツをはずす必要があります。触媒を掃除した後に外したパーツを元の位置に戻すのが非常に大変です。長年使用して本体も変形しているのでパーツだけ交換しても購入当時のように簡単にメンテできないと思います。

そこで、新しくストーブを入れることにしました。新しいストーブの条件は以下の通りです。  

① できるだけ安いこと

② 燃焼効率が高く、煙突から煙や臭いがでないこと

③ 簡単にメンテできること

①について:私があと何年薪作りをできるかわかりません。アンコールのように25年使うことは無理でせいぜい10年くらいでしょう。欲を言えば15年?ストーブの値段が安くないと元を取れません。これが第一優先です。

②について:しかし、安かろう悪かろうでは薪の準備が大変だし、排煙で近所に迷惑がかかります。アンコールは正しく焚けば煙がほとんど出ませんでした。田舎でお隣さんとの距離があるとは言え近隣の方に迷惑をかけるわけにはいきません。この項目も大事です。

③について:あと何年薪ストーブを使えるかわかりませんが、使っていある間にはメンテの工数と費用が少ないことが必要です。①の安いことかぶるかもしれませんが手間がかからないことが重要です。徐々に体力が落ちてくるので、ストーブのメンテに体力を使わず、薪作りにだけ体力を使いたいものです。

いままで使っていたアンコールのカタログ写真を転載します。すごくかっこいいです。しかし値段が高いので①の条件を満たしません。②はOK ③は私のLife Timeを考えればOK?

今度入れるストーブのカタログ写真です。①②③の条件を満たします。②③の条件を満たすと①を完全に満たすのは難しいので相対的な評価です。③についてはこのストーブには触媒がないのでランニングコストは安そうです。触媒が無い代わりに希薄燃焼で触媒と同等の燃焼効率を達成しているそうです。触媒が無いと触媒を交換するする必要がないのでメンテコストが減ります。

今まではエレガントな雰囲気のストーブでしたが、今度は薪ストーブ本来のワイルド?なイメージなので楽しみにしています。

ストーブを購入する際、市から補助金が出るとストーブ屋さんから教えてもらい先月申請しました。本日補助金交付の通知を受けたので工事をお願いしました。補助金をいただけると本当に助かります。

ストーブを入れ替える際に少し問題になった点があります。25年前は煙突が太いほど良く燃えるとのことで我が家の煙突は直径8インチを導入しました。アンコールも8インチ仕様でした。下の写真に煙突を示します。

しかし現在は煙突径6インチが主流で8インチは過去の遺物のようです。全てのストーブは6インチ仕様なのでストーブと煙突の間の直径を変換するアダプタが必要です。6/8変換は一般的なことかと思いましたがかなり特殊なようで特注品で対応するそうです。何故8インチが廃れたのか定かではありません。

最後になりますが、アンプの設計について書きます。制御ソフトのコーディングを全て見直しました。デバッグ中ですが、DSPなどを使わずに制御できるかトライ中です。