月別アーカイブ: 2014年8月

サイトウ・キネン CDコンサート

昨年に続いてCDコンサートに行って来た。

新 忠篤さんが機材を持ち込んで松本のキッセイ・フォールでCDコンサートを行っている。

今年は8/29、8/31,9/2,9/6の4回開催される。

家内に教えてもらい一緒に聞きに行った。家内から聞かなければパスしてしまったかも。感謝です。

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昨年聞きに行った時は様々なホールの響きを比べるために演奏を抜粋して鳴らしたが今年は曲を通して演奏した。ドヴォルザークのセレナーデとモーツアルトのオーボエ四重奏はいずれもハーモニー・ホールで録音されたもの。ハーモニー・ホールは音が良いことで知られているがセレナーデは風邪を引いて耳と鼻が詰まったときのような音でおかしい。

座っている場所が悪いと思い最前列の真ん中の席に移動した。すると2曲目のオーボエ四重奏は非常に良かった。そこに演奏者が居るかのような気配が感じられた。客席に居るという感じではなくステージの上で聞いているような感じだ。

最後のブラームスの4番は私も持っているCDだ。1989年ベルリンの録音。ベルリンの壁が崩壊する2ヶ月ほど前にベルリンで録音された演奏。少し弦の音が粗いと感じた。この頃の録音のクオリティによるものかと思ったが音に勢いがある。SKOの最初の録音だそうだ。録音に関わった西脇義訓さんが録音当日のことを語ってくれた。西脇さんは第二バイオリンの後ろで演奏を聴いていて小沢さんの指揮に圧倒されたそうだ。

演奏機材は上のパンフレットに記載の通り。写真を撮ってきた。

スピーカーはウエスタンの594Aとジェンセンの13″を825に入れたもの。ウーファーも中高音のドライバーも励磁型スピーカー。励磁型スピーカーは音に勢いとスピード感があって素晴らしい。

左下が300B-ppの単段アンプ。聞いたところ入力トランスで14dB程度の利得があるそうだ。600Ω入力だからできることだろう。

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こちらはCDプレイヤーとプリアンプ。ミキサー的なレイアウト。pre

いい音を聞かせていただきありがとうございました。

ちなみに家に帰ってブラームスの4番をかけてみた。再生した部屋の容積が3桁くらい違うせいか、再生装置の違いかわからないがこじんまりした音に聞こえた。今度ハーモニー・ホールのオーボエ四重奏のCDを買って比べてみたい。

微妙な問題ですが、、 スコットランド独立について

私事ですが2007年から2009年にかけて2年半スコットランドに住んでいた。

そのスコットランドがUKから独立するかを決める国民投票が9月18日に行われる。今のところ独立賛成派が反対派を上回っているようだが、投票日が近づくにつれて賛成派の割合が増えているようだ。

私は選挙権が無いものの、スコットランドを第二の故郷と思っているので選挙の行方が気になる。

私のような門外漢が選挙についてどうこう言える立場にはないが少し意見を述べてみたい。

私がスコットランドに住んでいた時にも感じたが、スコットランド人はイングランドに対してかなり対抗意識を持っていた。大阪が東京に対して持つライバル意識のようだと思っていたがもっと民族的、歴史的な背景があるようだ。同僚に聞いたこともあるが深入りは避けた。彼らもそれぞれの家族の歴史があり、話がヒートアップすると同僚同志がかつて敵対していたことがわかり憎悪が生まれてしまうかもしれない。だから聞けないし、外国人の私には彼らも説明してもわからないと思ったのだろう。

建前としてSNP(スコットランド国民党)はスコットランドをUKの一地域ではなく世界に貢献できる国家にしたいと言っている。非常に高邁な目的であるが実際は北海油田の利権を独占してスコットランドへ富を集中させたいという民族主義的な理由であろう。国民投票が近くなると「スコットランドは世界で一番豊な国だからUKの一部でいる必要はない」というキャンペーンがあり、失業者などが独立すればなんとかなるかもしれない、と独立賛成派の比率が増えている。

確かにUKは工業が衰退し金融業の国になっている。スコットランドは工業が多く工業が衰退したあとバイオ系などの投資があるが失業率が高い。一方イングランドは金融で栄えているのでスコットランドから見るとうらやましく思えるのだろう。そんなこともありSNPのキャンペーンに乗ってしまう人も多いようだ。

しかしSNPがどこまで現実を見極めているのかわからない。UKの政府はスコットランドが独立したらポンドを使わせないと言っている。そうするとスコットランドはユーロを使うざるを得ないがEUがスコットランドを迎え入れるか?SNPの代表はポンドを使う権利があると言っているがそれは通用しないでしょう。北海油田の権益が全てスコットランドに帰属するかもわからない。

さらにUKの大きな社会保障システムの一つであるNHS(ナショナル・ヘルス・サービス)もどうなるか争点の一つである。これは国民の医療費が基本的にただになるシステムである。私達の家族も歯科医療を除くほとんどの医療費が無料になった。独立反対・賛成双方とも独立すれば破綻する、独立しないと破綻すると勝手な意見を述べている。

かつての知り合いでも賛成派・反対派が居る。

ある知り合いは非常に頭が良くIT業界で働いているが経済的な理由で独立すべきと考えているようだ。しかし私は独立により経済的な利益があるとは思えない。彼も多分理解していると思う。私が想像するに彼は民族主義的な考えにより独立を支持しているように見える。

他の知りあいは独立反対。SNPの政策に具体性がないから。そして独立する必要がないから。普通はこう考えると思う。スコットランドが独立して得る利益と損失を比べたら圧倒的に損失のほうが多いといっている。

私が住んでいた時の感想では、住民サービスでイングランドよりスコットランドが劣っているとは思わなかった。経済投資はそれほど悪くない。トニー・ブレアもゴードン・ブラウンもスコットランド出身。むしろスコットランドが優遇されていた面もあると思う。確かにUKは金融国家になり工業はないがしろにされてきた感がある。しかし各種産業の発展のためにスコットランドにもかなりの投資がされていたのは事実だ。

もし独立した場合スコットランドは独立に多大なコストがかかるので富が増えることはないと思う。万が一独立してスコットランドが裕福になるとしたらUKの他の地域が貧困になるということ。そうすれば今後スコットランド対イングランド・ウエールズそして北アイルランドなどとの対立が深くなる。かつてのIRAによるテロのようなことが起きるかもしれない。

独立にかけるコストをUK全体の利益拡大に使えばもっと大きなリターンがあると思う。スコットランドだけのエゴのために無駄なコストを払い、他の地域を犠牲にして独立するのはどうかと思う。

スコットランドが独立の国民投票をするならUKの他の3カ国にも独立を認めるか否かの国民投票をする権利があると思う。

そんなわけでもし私に投票権があれば No です。  大きなお世話でごめんなさい。

今回は仕事とは関係ないけど私の思いを綴ってみました。

Auraのアンプの修理(2)

注文していた部品が届いたので交換した。

リレーは問題なく動作している。2-3日連続運転してから依頼主に届けようと思う。

修理前と後の特性を確認した。

周波数特性と歪率はほとんど変化なし。歪みは以下の通り。測定誤差の範囲。

DIS_before

DIS_after

10kHzの歪みが多い。回路を見ると2段目の差動で直接出力段のFETをドライブしている。出力段のFETは2SK1058/2SJ162だと思われるがこれらの入力容量は1000pF近くある。

これに対して2段目の差動アンプのコレクタ電流は0.35mAしか流していない。これでは出力段のFETのゲート容量を素早く充放電できない。仮に0.35mAフルに流れて入力容量を充電したとして計算すると

T=CV/I=900pF x 28V / 0.35mA=72us

ここで C は2SJ162の入力容量=900pF、V はアンプの最大出力50Wを出力するために必要な電圧=28V、I は入力容量を充放電する電流=0.35mA。

10kHzで0Vからpeakまでの時間は1/4周期なので25us。上記の入力容量充電時間時間は25usより長いので歪みが発生する。上記計算はステップ状に0.35mAが流れてFETの入力容量を充放電する場合の計算であるが実際にはFETのゲートに発振防止の抵抗が入っているし、2段目差動は位相補償のコンデンサが入っているのでさらに遅くなる。出力が増えるほど歪みが増えるのは上記の計算の通り出力が大きいほどドライブ電圧の不足が多くなるからだ。Auraともあろうものがどうしてこんな安易な設計をしたのか不思議だ。(背面にはDesigned by B&Wと書いてあった、、、)

ただし音楽では高周波成分のレベルが低いことを考えると実用上は許容できるだろう。そういう意味では凄い割り切りなのかもしれないが、、、

続いてダンピング・ファクターを比較する。

DF_before

DF_after

修理前は不安定な様子がわかる。これはリレーの接点の劣化とコイル劣化による接触圧力の低下によるものだと考えられる。修理後は安定している。10kHz以上でDFが上昇しているのはダミーロードに無誘導タイプを使用していないのでインピーダンスが上昇しているためDFが見かけ上高くなっているためだろう。(今パワーアンプの開発を計画しているのでちゃんとしたダミーを作る必要がある)

Auraのアンプはカジュアルに聞くことを想定しているのでこんな感じかなあと思う。しかし部品やレイアウトに気を配っているので回路にもう少し配慮してもよかったのではないか?

 

Auraのアンプ修理

行き着けの飲み屋でBGM用に使っているアンプの修理の依頼を受けた。

AuraのBritish Stingrayという機種で1999年製。15年間毎日のように使っている。壊れても不思議でない。回路図が無いので修理できるかわからないがとにかくやってみる。

Aura1

 

Aura2意外と簡単に原因が分かった。ミューティング用のリレーがONしない。電源電圧が100V以上だとリレーはONするがスライダックで電源を100V以下にするとONしない。リレーの感度が低下して来たのだろう。この状態ではリレーの接触抵抗が増えているので音質にも悪影響している筈だ。

長期間使用しているのでついでに電解コンデンサも交換することにし必要な部品を発注した。

使用している基板は片面基板なので回路図をトレースが簡単にできた。

フォノ・イコライザーは5532を2つ使ったNF型。初段は非反転増幅で約16dB増幅。2段目は反転増幅を使ったNF型。反転増幅のNF抵抗とカートリッジのインダクタンスが接続されると動作が不安定になるのでこれを防ぐためにフォノ入力を5532で受けてからとRIAA回路に信号を送っていると思われる。

イコライザーの出力とライン入力はセレクター・スイッチとボリュームを通りパワーアンプに入る。

パワーアンプは初段が2SA970の差動アンプ、2段目は2SC2240の差動アンプでカレーントミラー負荷でpp合成されている。2段目差動の出力で出力段のFETを直接ドライブしている。これでいいのか?と思う微妙な回路だが音はそれなりに定評がある。

現状で簡単に特性を測定し、ビフォアー vs アフターで比較してみようと思う。

 

 

パイプオルガンについて

家内がオルガン同好会に入ってオルガンの練習をしている。

オルガン同好会はオルガンを弾くだけではなく、オルガンに興味を持っている人にオルガンの魅力を伝える催しを行う。

家内はその催しで来場者にオルガンの原理を子供達にわかりやすく説明することになった。家内は台本を見ながら日々練習しているのでいやおうなしに私の耳にも入って来る。

その説明によるとオルガンの送風機からの風をパイプに送るにはストップというものを操作して鍵盤を押す必要がある。ストップによりどのパイプのセットに風を送るか選択する。

ストップには8とか4という数字が書いてある。8と書いたストップを引くと8フィートのパイプが選択される。

ここで私はわからなくなってしまった。パイプが1/2波長で振動しているとすると8フィートのパイプの共振周波数は約67Hz。ピアノでは真ん中のドより2オクターブ下のドに相当すると思われる。しかし8フィートのパイプを選んだだけでは音階を演奏できないので8フィート以外のパイプも選択する必要がある。何故8フィートを選んだだけで音階が出せるのか?

疑問1) 8÷1.0595,8÷(1.0595)^2、8÷(1.0595)^3….といくつものパイプを選択しないといけないのでは?

疑問2) パイプには開管と閉管があるそうだが閉管は1/4波長で共振するので同じ8フィートでも開管より1オクターブ低い音が出るの?

疑問3) どの鍵盤を押すと8フィートのパイプが鳴るの?

疑問4) 8フィートのストップを引いて真ん中のドを弾いた時と4フィートのストップを引いて1オクターブ下のドを弾いた時には同じパイプが鳴るの?

など疑問がn個次々と浮かんで来た。

家内に聞いたがよくわからないと言うし、練習の邪魔をするなと怒られてしまう始末。

それで調べてみたところ以下のようなことが分かった。やっと奥深いオルガンの最も基本的なことがわかっただけだ。

疑問1,3の答) 8フィートというのは左端の鍵盤を引いた時に鳴るパイプの長さを表す。鍵盤の数だけパイプがある。つまり8フィートから段々短くなる47本とか61本のパイプのセットを8フィートと呼ぶ。

ちなみに8フィートのストップを引いた時には左端のドが67Hzなのでこれより2オクターブ上のド(真ん中のド)は268Hz。ピアノの真ん中のドと一致する。

疑問2の答) どうやらストップに書いてあるフィートは開管の長さのようだ。閉管でも開管と同じ高さの音が出る場合は実際の長さの倍の長さで呼ばれる。リードのあるリード管は長さが非常に短い。きっと開管の1/10くらいだと思う。それでも8フィートなどと呼ばれる。 つまりフィートは長さの単位でなく音程を表す単位として使われているようだ。

疑問4の答) 基本的には一つのパイプが複数のストップで兼用されることは無いそうだ。

サンサーンスの交響曲3番では16Hzのドが演奏されるという。これは32フィートのストップを引いた時に鍵盤の左端のドを押すと出る音だ。 32フィートというと開管なら約10mの長いパイプだ。

パイプは長さだけでなく材質(真鍮か木かなど)や先に述べたリード管かそうでないもの(フルー管)かにより音色が異なる。音色に関してはドイツとかイタリアでストップの名前が違うのでもう少し調べないとわからない。

曲によって最適なパイプの組み合わせを選ぶ。これをレジストというそうだ。シンセサイザーの用語だと思っていたが本家本元はオルガンだったのだ。

8月1日に松本のハーモニーホールでオルガンの催しの本番があり聞きに行った。家内は無事オルガンの説明を終えた。良かった良かった。

その後参加者は大ホールのオルガンを体験することができた。私もオルガンに触って来た。

Yardbird Suitesのテーマを派手な音のレジストで弾かせてもらった。気持ちいい~! 専属オルガニストの原田さんが「いい感じですよ~」とお世辞を言ってくれた。

オルガンの演奏台の近くで撮った写真。迫力がある。

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