微妙な問題ですが、、 スコットランド独立について

私事ですが2007年から2009年にかけて2年半スコットランドに住んでいた。

そのスコットランドがUKから独立するかを決める国民投票が9月18日に行われる。今のところ独立賛成派が反対派を上回っているようだが、投票日が近づくにつれて賛成派の割合が増えているようだ。

私は選挙権が無いものの、スコットランドを第二の故郷と思っているので選挙の行方が気になる。

私のような門外漢が選挙についてどうこう言える立場にはないが少し意見を述べてみたい。

私がスコットランドに住んでいた時にも感じたが、スコットランド人はイングランドに対してかなり対抗意識を持っていた。大阪が東京に対して持つライバル意識のようだと思っていたがもっと民族的、歴史的な背景があるようだ。同僚に聞いたこともあるが深入りは避けた。彼らもそれぞれの家族の歴史があり、話がヒートアップすると同僚同志がかつて敵対していたことがわかり憎悪が生まれてしまうかもしれない。だから聞けないし、外国人の私には彼らも説明してもわからないと思ったのだろう。

建前としてSNP(スコットランド国民党)はスコットランドをUKの一地域ではなく世界に貢献できる国家にしたいと言っている。非常に高邁な目的であるが実際は北海油田の利権を独占してスコットランドへ富を集中させたいという民族主義的な理由であろう。国民投票が近くなると「スコットランドは世界で一番豊な国だからUKの一部でいる必要はない」というキャンペーンがあり、失業者などが独立すればなんとかなるかもしれない、と独立賛成派の比率が増えている。

確かにUKは工業が衰退し金融業の国になっている。スコットランドは工業が多く工業が衰退したあとバイオ系などの投資があるが失業率が高い。一方イングランドは金融で栄えているのでスコットランドから見るとうらやましく思えるのだろう。そんなこともありSNPのキャンペーンに乗ってしまう人も多いようだ。

しかしSNPがどこまで現実を見極めているのかわからない。UKの政府はスコットランドが独立したらポンドを使わせないと言っている。そうするとスコットランドはユーロを使うざるを得ないがEUがスコットランドを迎え入れるか?SNPの代表はポンドを使う権利があると言っているがそれは通用しないでしょう。北海油田の権益が全てスコットランドに帰属するかもわからない。

さらにUKの大きな社会保障システムの一つであるNHS(ナショナル・ヘルス・サービス)もどうなるか争点の一つである。これは国民の医療費が基本的にただになるシステムである。私達の家族も歯科医療を除くほとんどの医療費が無料になった。独立反対・賛成双方とも独立すれば破綻する、独立しないと破綻すると勝手な意見を述べている。

かつての知り合いでも賛成派・反対派が居る。

ある知り合いは非常に頭が良くIT業界で働いているが経済的な理由で独立すべきと考えているようだ。しかし私は独立により経済的な利益があるとは思えない。彼も多分理解していると思う。私が想像するに彼は民族主義的な考えにより独立を支持しているように見える。

他の知りあいは独立反対。SNPの政策に具体性がないから。そして独立する必要がないから。普通はこう考えると思う。スコットランドが独立して得る利益と損失を比べたら圧倒的に損失のほうが多いといっている。

私が住んでいた時の感想では、住民サービスでイングランドよりスコットランドが劣っているとは思わなかった。経済投資はそれほど悪くない。トニー・ブレアもゴードン・ブラウンもスコットランド出身。むしろスコットランドが優遇されていた面もあると思う。確かにUKは金融国家になり工業はないがしろにされてきた感がある。しかし各種産業の発展のためにスコットランドにもかなりの投資がされていたのは事実だ。

もし独立した場合スコットランドは独立に多大なコストがかかるので富が増えることはないと思う。万が一独立してスコットランドが裕福になるとしたらUKの他の地域が貧困になるということ。そうすれば今後スコットランド対イングランド・ウエールズそして北アイルランドなどとの対立が深くなる。かつてのIRAによるテロのようなことが起きるかもしれない。

独立にかけるコストをUK全体の利益拡大に使えばもっと大きなリターンがあると思う。スコットランドだけのエゴのために無駄なコストを払い、他の地域を犠牲にして独立するのはどうかと思う。

スコットランドが独立の国民投票をするならUKの他の3カ国にも独立を認めるか否かの国民投票をする権利があると思う。

そんなわけでもし私に投票権があれば No です。  大きなお世話でごめんなさい。

今回は仕事とは関係ないけど私の思いを綴ってみました。

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