フォノイコライザの開発

4年間務めていた町会役員の任期が2026年3月末で終わり町会役員を退任しました。その後も認可地縁団体の代表者変更の手続きが市の都合により難航していましたが、6月中旬にようやくすべての任務を完了しました。

さて、昨年からフォノイコライザの開発を進めており、現在は2次試作の評価段階に入っています。

2016年頃 フォノイコライザのOEMの打診があり検討を行いました。
案件がなくなり製品化には至りませんでしたが、その際イコライザについての知見を深めることができました。

それ以来、自分が本当に欲しいフォノイコライザの検討を行っていました。

開発中のフォノイコライザの要件は以下の通りです。
(1) SN比が高いこと
(2) 歪が少ないこと
(3) イコライザカーブの偏差が少ないこと
(4) 十分な許容入力を持つこと
(5) 複数のイコライザカーブに対応すること

以下それぞれについて説明します。

(1) SN比について
アナログレコードを再生するカートリッジの出力電圧はMC型で0.1~0.5mV程度、MM型で2~5mV程度と非常に微弱な信号を扱います。(いずれも1kHzで5cm/sec)
カートリッジ出力電圧よりアンプの入力換算ノイズが十分小さい必要があります。

MCカートリッジとMMカートリッジでは高SN比を実現するための回路構成が異なります。

内部抵抗が低いMCカートリッジではアンプの電流ノイズより電圧ノイズのほうが支配的です。

一方内部インピーダンスが大きいMMカートリッジでは電流ノイズの方が支配的になります。一般的なSN比の測定ではアンプの入力をショートするので、測定結果だけでは電流ノイズの影響が見えません。実使用時のノイズが少なくなるように回路構成を追求しました。

最終的に、それぞれのSN比を最適にするため「MC専用」と「MM専用」の2バージョンを用意することにしました。

(2) 歪について
音楽を聴いている時に耳に入って来る歪は高調波歪とノイズの合計(THD+N)です。フォノイコライザは扱う信号レベルが小さいため、プリアンプやパワーアンプに比べてノイズ電圧の影響を強く受けます。
ノイズ電圧を減らすと同時に十分な負帰還をかけて高調波歪を少なくしました。

(3) イコライザカーブの偏差について
偏差が±1dB以内なら聴感上の差は判別できないと言われています。イコライザ偏差を±0.5dB程度を目標としています。

(4) 許容入力について
レコードのカッティング(カッターヘッド)の制約によりレコードに記録できる速度は低域~2kHz程度では40cm/sec程度が上限とされています。2kHz以上では再生するカートリッジのトレース限界を超えないように速度を40cm/sec以下でカッティングしているそうです。
しかし市場にあるレコードでは、この理論値を超えるレコードが多いとのレポートがあります。実測の最大値でも歪みなく再生できる許容入力を確保しています。

(5) イコライザカーブについて
RIAA以外のイコライザカーブでカッティングされた、オールド・ビニール盤レコードを正しく再生するため、複数のカーブをサポートします。再生中にカーブの切り替えができるのため、カーブによる音の違いを簡単に比較できます。

フォノイコライザのフロントパネルです。
左の2つのノブでイコライザカーブを切替ます。

リアパネルです。デジタル・アーカイブを取る場合にAUDIO I/Fなどに接続するために出力が2系統あります。2つのコネクタは内部で接続されています。

底板です。DIPスイッチでカートリッジの負荷抵抗などの設定を行います。

現在評価中ですが、もう少しで製品化できる予定です。
リーズナブルな価格設定にしたいと思っています。




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