ヤマハのF1用エンジンとして有名なOXシリーズの話?
いえいえ、ヤマハのエレクトーン F-1の話です。
かつて1965年に製造されたヤマハの最高級エレクトーンの名はヤマハ F-1。
松本歯科大学の教授が所有するF-1を松本市に寄贈し、あがたの森ホールに設置され現役で使われているそうです。
12月6日にあがたの森でサタデーコンサートが開催されます。そのコンサートに向けて先日ヤマハF-1の整備が行われました。
家内がその保守作業を見学に行き写真を撮影して来たので掲載させていただきます。
これがF-1です。今のエレクトーンは上下鍵盤の左右の位置がずれていますがF-1では揃っています。これはオルガンと同じ。
F-1のエンブレム。時代を感じさせます。そして右のボタン。オルガンと同じでパイプの長さが書いてあります。
そしてF-1の背面。これが発振器のつまったラック。鍵盤ひとつにひとつずつあるから大変なことです。今ならICやDSPで処理できるが当時はこれが普通だったのです。
そして発振器を取り出しすとこうなっています。発振回路ひとつ毎にトランジスタとLCRがあります。おそらくコルピッツ型の発振器だと思います。コイルの捺印を見ると同じものが二つあるので半音違っても共用していると思います。それにしても鍵盤数の半分の種類のインダクタンスをそろえる必要があるので大変なことです。
またトランジスタはゲルマニウムではないかと想像します。
スピーカーはF-1本体とは独立しています。人の背の高さくらいあります。このように多くのユニットが使われています。写真だけではよくわかりませんがヤマハ製のスピーカーのようです。16cm程度のユニットが10個、12cm程度のものが2個使われています。良い音がしそう。
スピーカーを駆動するアンプはこれ。おそらくセミコンプリメンタリの古典的な回路のアンプでしょう。家内は「ソニーの真空管を使っていた」と言っていたがそんな筈は無い。多分ソニーのトランジスタが壊れて現在のサンケン製トランジスタに交換したと思います。
それにしても1965年製のエレクトーンがいまだに現役でがんばっている。そしてそれがしっかりとメインテナンスされていることについて驚くと同時に感激しました。
スピーカーやアンプはオーディオでも古いものがあるのでそれほどは驚きません。
鍵盤毎に設けられた発振器がちゃんと稼動していることが凄いと思いました。このオルガンは手鍵盤と足鍵盤を合わせると154鍵?あります。その一つでも壊れると使えないのに50年の時を経て154鍵すべてが使えています。154個もあるとMTBFは約1/150になります。もちろん50年の間に何度か修理をしていると思いますがそれでもいまだに使用しているのは修理が可能でありかつ維持費が許容範囲だからでしょう。
エレクトーンのエンジニアが近くに住んでいてその方が保守されているそうです。家内の話ではその方はエレクトーンの生き字引で回路図が無くて修理していたという。本当に凄いことだ。
ヤマハ F-1は当時のエンジニアの熱意が感じられる文化的な遺産だ。
日本に何台のF-1が稼動しているのだろうか?
電子楽器博物館に昔のF-1の紹介記事が出ているので興味のある方はご覧ください。