月別アーカイブ: 2014年6月

Horace Silver氏逝去

6月18日にJazzピアニスト Horace Silver氏が85歳で亡くなった。

謹んで哀悼の意を表します。

訃報を聞いてから彼のアルバムを聞いている。私は有名な ”Song For My Father” を除くと50年代のアルバムしか持っていない。どのアルバムも好きだ。聞いていて心にスーッと入って来る。

ただファンキーで楽しいだけでない。叙情的で内省的な演奏も多い。

ブルーノートでの初リーダーアルバム ”Horace Silver Trio” の中の ”Prelude to a Kiss”

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とか”Finger Poppin'” の中の ”Sweet Stuff”などは静かで思わず聞き入りたくなる曲で私は好きだ。

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これ以外のアルバムも叙情的で静な曲が入っている。ただ7-8割の演奏がBud Powellから影響を受けたファンキーで乗りのいい曲であり、これがHorace Silverの本領だと思う。しかし彼のルーツであるBud Powellも心の中に浸みこんで来る叙情性ゆたかな演奏をしていた。Horace SilverはBud Powellのから多様な影響を受けていたのだとわかる。

そして50年代のブルーノートレコードのテイストを形作っていた要素のひとつがHorace Silverだと思う。  彼以外のミュージシャンのブルーノートの演奏を聴いても彼の姿や音が頭に浮かんで来る。それだけ影響力の強い演奏家であった。

Horace SilverはそもそもThe Jazz Messengeresのリーダーだった。The Jazz MessengeresといえばArt Blakeyだが下にあるように最初は ”Horace Silver and the Jazz Messengeres”というアルバムだ。このアルバムは1954年11月と1955年2月に録音されている。

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多分最初はArt Blakeyのサイドマンとして有名なNight at Birdlandなどで共演していたのだろう。そのうちにレギュラーグループを結成し音楽的な実力が上のHorace Silverがグループを牛耳って行ったものと思われる。その頃録音されたのが上のアルバムかも。

そして The the Jazz Messengeres の初アルバムが ”The Jazz Messengers at the Cafe Bohemia” だ。 1955年11月の録音。ここではグループ名にはブレイキーやHorace Silverの名前が入って居ない。前のアルバムの録音から1年足らずの間にアート・ブレイキーがグループリーダーとして除々に影響力を増して来たと思う。

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Art BlakeyとHorace Silverのグループ内での力関係が実際どうだったかはわからない。Art BlakeyとHorace Silverの双頭コンボという形だったようだ。Horace Silverが音楽監督、Art Blakeyがビジネス面でのリーダーという役割分担でHorace SilverはArt Blakeyからギャラを受取っていたそうだ。 音楽的にはArt Blakeyより優れているのにArt Blakey使われるのに嫌気をさしたHorace SilverはArt Blakeyと袂を分かつ。The the Jazz Messengeres という名前を置き土産にして。

何故Horace Silverが The the Jazz Messengeres の看板を置いて行ったか?私なりの推測。

Horace Silverは職人肌のミュージシャンだからブランド戦略などということは考えていない。いい演奏さえすれば結果はついて来ると思っていた。一方でビジネス担当のArt Blakeyはおぼろげながらブランドの大切さを認識していたのではないか?

Horace Silverという音楽監督を失ったArt Blakeyはその後Benny Golsonを音楽監督に迎えるまで数年間にわたり不遇な時間を過ごすことになる。それでもしっかりと The the Jazz Messengeres の暖簾を守ってきたことがその後の成功に繋がる。

Horace Silverの超有名盤はやっぱりこれだ。私がJazzを聴き始めてかなり初期の頃買ったLPだ。

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無条件で楽しい演奏でありHorace Silverの作曲した曲もすばらしい。レコードが擦り切れるまで何度も聞いた。(実際には擦り切れてないけど 今でもちゃんと音が出ます。)

しかし70年代以降のHorace Silverの演奏を聴いた記憶がない。だいたい70年代はメインストリーム・ジャズが廃れてしまった。フュージョンやファンクなどが闊歩し私もそれらの音楽にのめり込んでいた。

そんなこともありHorace SilverやArt Blakeyを顧みることはなかった。

80年代になりWynton Marsalisを擁してArt Blakeyがメインストリーム・ジャズの再評価の扉を開いた。Horace SilverとArt Blakeyとの関係を考えると感慨深いものがある。

Horace Silverは超巨匠ではないものの燻銀のようなしぶさを持った準超巨匠と言える。

安らかにお眠りください。

川口オーディオクラブ セミナー

6月14日に開催された川口オーディオクラブのセミナーに参加してきました。

当日は好天に恵まれ多くの愛好家の方々が参加されました。

内容は

・フィートレックスさんのデモ

・MJライター 柳澤さんのデモ

・オーロラサウンドさんのデモ

・MJライター 安井さんのデモ

・パール サキソフォン クアルテットの演奏

と非常に盛りだくさんで楽しむことができました。

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私はスピーカー3組を切り替えて再生するデモセットを展示しました。イベント会場が公民館の3階で機材の搬入に予想以上に時間がかかってしまいました。家内が一緒に来て手伝ってくれたのでなんとかなりましたが一人だったらイベント開始時間までに設置できなかったと思います。

それでも音出しデモを行い来場した方々に能率補正機能付スピーカー切替器を紹介することができました。

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今回は初めての展示での段取りや展示の方法など次回に改善すべき点が色々ありました。それでも今回実際にやってみて大変良い経験になりました。

今回参加させていただいた川口オーディオさんのイベントは多くの方々が参加されていましたし多くの方々が運営に協力されていました。

私の住んでいる地方にはこのような大きなオーディオクラブは無くオーディオはパーソナルな趣味です。しかし埼玉ではオーディオはソーシャルな趣味であると感じました。多くの人がイベントの運営や準備などに携わられてアクティブに活動されているのは本当に凄いことだと思いましたしそのパワーには圧倒されます。

それと同時に今回出展の機会を与えていただいた戸張様はじめ主催者の方々に感謝いたします。

最後に演奏してくれたサックスのアンサンブルはとても上手かったです。私も以前下手ながらサックスを吹いていたことがありその上手さが良くわかりました。楽しく聞きました。

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そしてやはり生の音が一番だと感じました。