先日に続いてスピーカーの特性と音の関係を書いてみる。
その前にLE-8Tの特性について少し補足をする。
前回のLE-8Tの周波数特性をもう一度以下に載せる。
そしてこれはいつも聞いているよりもツイーターのアッテネータを6dB上げた特性だ。
6dB上げると高音がすごくうるさく聞こえる。しかし実際には3kHzくらいから上昇して12-3kHzから低下している。高音と言って中音の帯域なのだ。075は実は高域が延びていないと言われていたがやはりそうだった。今度はLE-8Tにもっと周波数特性の良いツイーターを組合わせてもいいかもしれない。
さて各スピーカーの歪みを見て音との関係を調べてみたい。
周波数 100Hz、200Hz、1kHz、5kHzの歪みを測定した。50cmの距離で約90dB/1kHzの音圧が出るレベルで測定している。
100Hzと200Hzは低音の特性を見るため、1kHzは中音の特性を見るため、そして5kHzは高音の特性を見るため。低音を100Hzと200Hz測定したのはバスレスの影響を見たかったのと、小口径スピーカーでどんな特性になるかを知りたかったためだ。
LE-8Tの歪み
LE-8T 100Hz
LE-8T 200Hz
LE-8T 1kHz
LE-8T 5kHz
LE-8Tは低ひずみという先入観があったのですこし意外な結果だった。歪みは1%程度。私の持って資料では歪みはもっと少ないが、30年以上前の固体で何度もエッジを張りなおしていることを考えるとこんなものかと思う。スピーカーにおける歪率1%は全く問題にならないレベルだ。しかし低域の歪みが心もち多いのはエッジが影響しているのかな?と思う。長寿命のためにはしかたないか、、
SX-3Ⅱの歪み
SX-3Ⅱ 100Hz
SX-3Ⅱ 200Hz
SX-3Ⅱ 1kHz
SX-3Ⅱ 5kHz
SX3Ⅱの歪みはLE-8Tに比べて一桁近くよい。やはり2wayなのでそれぞれが最適な特性になるのだろう。しかし音は歪み率が低いという感じがしない。良い意味でゆるくてまったりした音がする。
今日はここまでとしたい。
2013/12/14追記
グラフばかりで申し訳ないがもうちょっと記載させてください。音質と特性の関係については追々とコメントしたい。
ProAc Studio100の歪み
100Hz
200Hz
1kHz
5kHz
ProAcは歪みが少なくてかなり良い特性だ。しかし音はピラミダルな感じで安定している。味がある。うまく設置すれば音場感(奥行や高さ)がでる。歪み特性と音の関係はなんとも言えない。
Tannoy Autograph miniの歪み
100Hz
200Hz
1kHz
5kHzの特性を保存し忘れていたようだ。高音の歪みが意外と多い。一方小口径なのに低域の歪みが少ない。音のは清んだ水の流れのようで音からは歪みが感じられない。これも歪みと音の関係がよくわからないスピーカーだ。
キット屋 LM755A + ランドセルの歪み
100Hz
200Hz
1kHz
5kHz
このスピーカーにはもとから特性の良さを期待していない。だいたい想像通りの特性だ。音は歪みを感じない。歪みというより倍音だと感じるのか?人間の感覚にあっているだと思う。
Electro-Voice 409-8E 平面バッフルの歪み
200Hz
1kHz
5kHz
良い意味で歪っぽい。Jazzやブルースを魅力的に聞かせてくれる。昔のJazz喫茶のような音。特性も多少歪みが多いが755と同じような歪み特性なのにこちらのほうが少々ざらついて聞こえる。
Bose 101の歪み
100Hz
200Hz
1kHz
無難な音だ。小口径のフルレンジでも特性を追わずに音を追求している感じが特性から見える。つまり歪みを減らすとか周波数特性をよくするとかしていない。その結果ほどよい特性になっているようだ。(勝手にそう思っているだけだが)
ScanSpeak10cm+共立電子ダブルバスレフの歪み
100Hz
200Hz
1kHz
5kHz
音を聞くと頑張っているなあという思いが先に来る。なんとか優等生になろうとして背伸びしている感じ。それが特性にも出ている。低域はダクトの共振の影響などがあると思うが歪みが多い。小口径のスピーカーを働かせすぎかも。小口径はほどほどに使うのが良いと思った。
もともと楽器の音は盛大な高調波(倍音)を含んでいるのでスピーカーから高調波歪みが多少出てもあまり気にならないので、歪みの特性を計り、簡単に音との相関をみつけるのは難しいと思う。かと言って歪みが音に関係していると思うがサイン波でなく複数のスペクトラムを持つ信号を入れた時の歪みの振る舞い(混変調歪みなどを含む)まで把握しないと難しいと思う。
今回はたまたま測定環境を準備したので、とりあえず測定してみただけなのでこの程度にしたい。