月別アーカイブ: 2014年3月

Delius

春の便りが各地から届いている。

ここ松本はまだ桜が咲いていないが1週間ほどの間に開花すると思われる。

英国のDeliusという作曲家は叙情的な曲を書くので心が癒される。全ての作品を聞いたわけでないが、劇的な展開はなくゆったり・穏やかな感じの曲が多い。一聴して盛り上がりに欠けるのでつまらなく感じる場合があるが、ゆったりして心が落ち着く。

特に春の情景を描いた”On Hering the First Cuckoo in Spring”は私の好きな曲だ。

ゆったりした旋律が春の訪れを感じさせ、クラリネットがカッコーの鳴き声を聞かせる。心に染み入ってくる。

日本では春というと梅と鶯というイメージだ。英国ではカッコーが鳴くのが定番なのかどうか記憶に無いがこの曲を聞くと英国の田園地帯の草原や丘の景色を思い出す。以下は私が持っているCDのジャケットだがちょうど写真にあるような丘を良く歩いたものだ。

delius

良い曲なので是非聞いて欲しい。

窓から外を見ると、春らしい景色が目に入って来る。耳を澄ませばきっとカッコーの声が聞こえてくるはずだ。

DeliusのCD

 

アンプの回路について

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がある。今年は彼岸の入りまでは暖かくその通りだと思っていた。しかし春分の日の今日は寒くてそんなこともないと思う今日この頃。

次の製品の候補であるアンプについて検討している。私はアンプ類(アンプだけでなく回転系を含まないDACなどの機器を含む)の音質は80%が回路構成が決め残りの20%を実装が決めていると思う。このように決め付けてしまうと異論があるかもしれないし、誤解を招くかもしれない。

例えば音質的に優秀な回路をバラックで組んだ場合の音質と、音質的に劣る回路を贅を尽くした実装をした場合の音を比較すれば前者のほうが良い音がするから回路の比率が大きい。さらに回路では容易にひどい音が出せるが実装でひどい音を出すことは困難だ。

ただ上記は詭弁であり、本来議論すべきことは最高の回路と最高の実装を組合わせた時にそれぞれがどの程度の比率を持っているかであろう。

あえてその議論からはずれて上記の事例を示したのは先ず良い回路を作らないといくら実装で頑張っても意味がないといいたかったからである。そして最近の高級オーディオは回路もそれなりに凄いとは思うが実装にコストをかけて信じられない価格になっている。20%程度の比率しか占めない実装で他と差別化するためには大変なコストが必要だ。アルミブロックを削りだすとか、凄く重くするとか、、、高級オーディオの電子部品と機構部品の比率では機構部品のほうが多いだろう。実装に充分なコストをかければ20%がもっと増えるとは思う。しかしそれが40%や50%になることは無いと思う。

私の設計の方針は以下の通りだ。

重要部品には良いものを使い、回路構成で部品の性能の差をカバーして高音質を実現する。そして実装はポイントを押さえてコストパフォーマンスを良くしつつバランスの良いものにする。

世界最高の音質を狙わない代わりに、99.7%(3σ)の人が満足する音質をリーズナブルな価格で実現することを目指している。私が世界最高の音や世界のオーディオ愛好家の好みの分布を把握しているわけではないので3σと言うのはあくまでもイメージだ。

逆に言うと世の中にある高級オーディオは3σ以上(0.3%)の人達に向けて製品を提供するものだと思う。(ソフィソナント・オーディオのスピーカー切替器もユースケースを考えれば3σの外の人向? 私としては2.5σ位を狙っているが)

上記の通り音質の80%を占める回路設計は非常に大事。さらに使用するパッシブ部品の性能の差を回路でキャンセルできればもっと良い。そんなわけで今は考えられるいろんな回路を検討している。今までNPN/PNPの上下対象回路はあまり好まなかったが食わず嫌いはいけないのでこれらも含めて網羅的に(限りはあるが)検討している。効率的に進めないと時間ばかりかかってしまうので検討の方法を「ここは思案のしどころじゃ..」

今回はソフィソント・オーディオの設計の基本的な考え方の一部を記載した。今までは当たり障りの無い内容ばかりだったが、以前にも書いたとおり少しずつ製品開発に対する考え方を書いて行きたい。

Songs of bellows

3月16日に、ふいごの唄というパイプオルガンのコンサートが松本市のハーモニーホールで開催された。

ふいごの唄はオルガン同好会の受講者の発表会だ。以前にも書いたが、本格的なパイプオルガンを一般市民に開放しているホールは少ないそうだ。松本市はその稀な例のようだ。家内は今回の発表会に参加した。この発表会には芸大のオルガン科を出てドイツに留学していたKさんも参加した。私の家内のような初心者からKさんのようなプロ級の人まで幅の広い人々が演奏する。 東京に居る私達の友人のMさんが以前からKさんにオルガン習っている。Mさんはどこで聞きつけたのか、ふいごの唄を聞きに来てくれた。

Kさんが放射能の影響を避けるために松本に来た時にMさんからKさんの子供をどこの中学に入れればいいかなど相談されて答えたことがある。

song of belloiws

家内は頑張って練習していたが数日前から非常に緊張していた。しかし本番ではなんとか無事に演奏することができた。本人曰く「開始直後のトリプルアクセルで転びそうになって焦ったが、ここでへこたれないぞと立ち直って頑張った。」とのこと。ひやひやしながら聞いていたが私も一安心。

Kさんはさすがに凄く、デュルフレという作曲家の組曲を講師の保田先生と楽章を分け合って弾いた。

今日改めて感じたのはパイプオリガンの音は、モデル化しやすく本物の音と電子オルガンの音はあまり区別がつかないということだ。ホールでオルガンの音を聞いても家にあるオルガンの音と同じように聞こえてしまう。まだまだ本物のオルガンの奥深さを知らないのでなんとも言えないが、、

コンサートの後はMさんや高校の時の友達と軽く一杯やり、楽しい時を過ごした。

松本のハーモニーホールの専属オルガニストの保田先生は今年度で退任し新しいオルガニストが4月から着任するそうだ。4月以降、一般市民のオルガン愛好家に対してどのような機会が与えられるのか、そしてふいごの唄のような発表会があるかは不明だそうだ。

しかし家内は来年はどんな曲を弾くか既に考えている。

私の個人的な意見だと、今回のプログラムはほとんがバッハのオルガン曲であり変化がなかった。少しは違う曲を弾くのがよいと思う。

例えばバッハの(やっぱりバッハ?)ゴールドベルグ変奏曲のオルガン版とかホルストの惑星のオルガン版とか。ネットで探し始めたがゴールドベルグのAriaの無料の楽譜があったので早速ダウンロードしてみた。ピアノ版とはかなり印象が違うが面白いかもしれない。

惑星は2台のオルガンで弾く編曲と松井直美のようにパーカションと一緒に演奏するものがありオルガン独奏は厳しいかも。でもこれを弾きこなせたら格好いい。

何を演奏するかは家内が自分で決めることなので、適当にアイデアだけ出して後は口を出さないのが一番。

ティラミスの試聴

一月ほど前のことですが長谷弘工業さんからスピーカーとアンプ/プレイヤー用のインシュレータを
お貸しいただき試聴させていただきました。
ティラミスという商品です。特殊な木材と繊維の積層構造になっていて形状がお菓子のティラミスに似ていることから命名されたとのことです。
このような商品を評価と改善を繰り返して完成させるのは確立されたセオリーがなく音質の変化も微小なことが多いので全ての工程に手間がかかり並大抵の苦労ではないと思います。本当に凄いことだと思います。
試聴させていただいた後に長谷弘工業さんにお送りしたレポートをここに掲載させていただきます。
ティラミスの効果についてはレポートを読んでいただければわかると思いますが非常に効果があります。
設置環境の改善とインシュレータの併用をうまく組合わせて落としどころ(good compromise)を見つけることがオーディオの一つの方向だと思いました。
私の場合5-6セットのスピーカーを切り替えて使っているので全てにどのスピーカーに使用するか悩ましいです。
--- 以下スピーカー用レポート ---
この度はスピーカー用インシュレータおよびティラミスをお貸しいただき大変ありがとうございました。
先ずスピーカー用インシュレータのレポートをお送ります。
スピーカー1 サンバレー ランドセル+LM755
スピーカー2 ProAc Studio100
スピーカー3 Tannoy Autograph mini
試聴ソース
ブリテン&ロストロポービッチ アルペジオーネ・ソナタ
エラ & ルイ など
1. ランドセルをSX-3上に設置(写真1)
最初はVictorのSX-3の上に乗せた状態で音を聞きました。スピーカーの上にスピーカーを乗せるのは言語道断ですが場所が無いのでこのように使っています。
ティラミスを使うとチェロの低音部がぐっと沈みこむ感じや胴鳴りの感じが良くでます。
また音がスピーカーから開放されたように自在に空間に浮遊します
ボーカルも同様の効果で音離れが良く、心に染み入ってきます。
 写真1
2. ランドセルを椅子の上に設置(写真2)
SX-3上に設置した場合と同じ方向で効果がありますが、効果の度合いは小さくなります。
写真2
3. ProAcを椅子の上に設置(写真3)
ティラミスを使うとやっぱり音離れが良くなります。またVocalの場合マイクと口の距離が変化している様子が感じられます。音が軽やかにふわっと浮く感じがします。奥行感も出ます。ティラミスが無いと重苦しい感じがして音がスピーカーの近くに縛り付けられているような感じです。
ランドセルの場合椅子の上で効果が少なかったのにProAcでは効果が大きいのは何故かわかりません。ProAcはリジッドで鳴きが少ない箱なのに対してランドセルは箱を積極的に鳴らすタイプのスピーカーなのが影響しているかもしれません。ランドセルと一緒に椅子が鳴って相乗効果になっているような気がします。
ティラミスの代わりに袋ナットをスピーカーの下に置いた場合にはティラミス無しと有の場合の中間くらいの音になります。しかしナットに起因すると思われる付帯音が感じられます。
写真3
4. ProAcをスタンドの上に設置(写真5,6)
この場合は効果が聞き取れませんでした。
スタンドからはスパイクが上向きに出ています。ティラミスはスパイクの長さより厚いのでティラミスを使う場合はスパイクはスピーカーと接触しません。ティラミスを使わない時はスピーカーをスパイクで受けます。ProAcの場合はスパイク受けするとティラミスと同等の効果がある?ように思います。
写真5
写真6
5. Autograph miniをスタンドの上に設置(写真7)
この場合は効果が大きいです。ランドセルやProAcの場合と同様の効果です。
効果がある設置をした場合はどのスピーカーでも同じような効果があります。
写真7
以上の通りでスピーカーによって効果の出方が異なるようです。
また設置条件が悪いところほど大きな効果が得られます。
スピーカーや設置方法により違いはあるものの効果を発揮した場合には
上に書いたとおり音の重苦しさがなくなり自然で軽快な音になります。
音が喜んで飛び回っているような印象です。
レッドブルの宣伝ではないですが「ティラミス 翼を授ける」という感じです。
--- レポート以上 ---
続いてプレイヤー用のティラミスの評価を行いました。レポートの文中にもありますが私はCD用のティラミスを保有しています。今回はアナログプレイヤーでの評価を行うないました。CDで効果があったのでアナログでの効果はもっと大きいと期待していました。しかしティラミスの効果を発揮させるためにはもう少し環境を整える必要がありそうです。お借りできる期間が短かったのが残念です。
以前のブログで振動吸収ラックについて書きましたが、ティラミスの評価の際になんとかしないといけないと思ったのがきっかけです。
アクセサリで対応できる音質改善とそうでないものがあります。したがってあるレベルまでは設置環境を整えた上でアクセサリなどで音質を向上させるのがやはり現実的だと思います。
--- 以下レポート ---
昨日と今朝プレイヤー用ティラミスの試聴をいたしました。
結果をレポートさせていただきます。
自分でも初期型ティラミスをCDプレイヤー等で使っていてその効果を知って
いますが、初期型は奥行きが短くてアナログプレイヤーには使えません。
今回貸していただいたティラミスは奥行きが30cmあるのでアナログプレイヤー
にも使用できるため楽しみにしておりました。
プレイヤー関連の機器は以下のとおりです。
ターンテーブル  Linn LP-12(バルハラ)
トーンアーム    SME3009SII
カートリッジ     DENON DL-103
イコライザー     Linn LINTO
ソース
ソニー・ロリンズ サキソフォン・コロッサス
ジューン・クリスティ  fair and warmer など
結果
ティラミスを使うと音がすっきり・軽やかになります。
またシンバルやビブラフォンの乾いた感じが良くでます。
余計なノイズが無くなった結果だと思います。
そして使わない時に比べて音の定位の安定度がわずかですが高まります。
スピーカー用のティラミスを使ったランドセルで聞くボーカルは非常に魅力的です。
ティラミスの設置方法によってかなり影響を受けます。
プレイヤーの足に当たらないようにする必要があるので最初は写真1の
写真1
ように設置しました。この状態でも効果は感じられましたが写真2のように
設置した方がより大きい効果がでました。
振動系のモーターの下にティラミスが入るためだと思います。
しかしティラミスがはみ出しているので勿体ないですね。
写真2
ティラミスをはずすと音が奥に引っ込み、少しくすんだようになります。
今回評価した結果十分な効果を確認できましたが、CDプレイヤーよりもアナログプレイヤー
のほうが効果が大きいと期待していたので少し消化不良です。
効果を制約しているとしたら以下のようなことが考えられます。
・プレイヤーの足が邪魔をして最適な位置に設置できていない。
・ティラミスと接触するプレイヤーの裏板が薄く(2-3mm程度)振動してしまうのでは?
プレイヤーの足はリジッドな枠につけてあるので足のほうが有利ではないか?
ティラミスの長さがプレイヤーの奥行きより長ければリジッドな枠にも裏板にも接触
するのでもっと効果があるかもしれない。
・ラック、床とプレイヤーのサスペンションで形成される機械的な振動特性が
低周波(20~30Hz以下?)で共振していると思われる。
ティラミスを使っても共振を無くすことはできないので共振の影響が音に出ている
かもしれない。
以上のように(期待に対して)多少の欲求不満があるものの確かな改善が聞き取れました。
うまく使いこなせばさらに大きな効果が得られるのではないかと思います。
現在上記の共振の問題を改善するラックを検討しているのでそれができたら
もう一度チャレンジしてみたいと思います。
--- レポート以上 ---
上に書いたとおり全てをアクセサリが解決してくれるわけではありません。インシュレータようなアクセサリの場合、本道はオーディオ機器の設置環境を整えることだと思います。設置環境(床の強度やラックの性能など)はコストをかけても音質の向上は頭打ちになってきます。設置環境がそれなりのレベルになればアクセサリを導入すれば設置環境を改善するよりもはるかに少ないコストで音質改善をすることが可能だと思います。
その概念図を以下に示します。
アクセサリについて
ティラミスを試聴させていただきスピーカーとプレイヤーではアクセサリの効果の出方が少々違うのではないかと思いました。あくまでも今回の試聴における私の主観ですのでもっと検証する必要があります。
このようにアクセサリは環境によって効果の度合いが異なります。使ってみないと効果が判らないので貸し出していただき実際に体験できたのは本当にありがたかったです。
今回のブログはレポートの記述に合わせて”ですます調”になってしまいました、、、

DSD再生

SACDが出てから15年ほど経つが我が家にはSACDプレイヤーが無い。中途半端なプレイヤーを買ってもしょうがないと思い、かと言って高価なプレイヤーには手が出ない。そうこうするうちに時間が経ってしまった。

私は2008年頃からネットワークプレイヤーを使い始め、もうメカニカルのプレイヤーを使うことはないと思った。そんなわけでSACDプレイヤーを購入することなく今まで来てしまった。

近年USB経由でDSDファイルをDACに送りNative再生することが一般的になって来た。私も昨年キット屋のDAC SV-192SにDSDオプションを追加し音を聞いてみた。その音はPCMとは趣を異にした音であった。

音が滑らかで、空間や奥行きが感じられる音でびっくりした。急峻なディジタルフィルターが無いために位相特性が優れているためだろうか?しかしその後仕事が忙しく、再生環境が煩雑になるのでほとんどDSD再生をすることがなかった。最近はネットワーク経由でDSDのNative再生ができる機種も出てきている。技術的にはLAN経由でもUSB経由でもDSD再生が可能だが今までLAN経由の製品が無かったのは著作権がらみなのだろうか?

必要な時にいつでもDSDを再生できる環境を作りたいと思い本日PCのセットアップを行った。

PCでの再生ソフトにはfoobar2000を使うがこれはいつも使っているソフトよりU/Iが貧弱なので違和感が大きい。ジャケット写真を表示できないのでアルバムの枚数が増えると大変だと思う。

dsd

音はやはりPCMとはまったく違う。ざらつき感がなくあくまでもスムーズだ。本日は色々と試してみる時間が無かったがこれからいろんなソースを再生して音の評価や比較をしてみたい。

余談だが、PCMファイルをDSDファイルに変換するのにKORGのAudioGateというソフトを使う。これはツイッターを登録すると無料で使える。その代わりファイル変換のたびに自動的に「変換中です」とツイートする。以前Jhon Scofieldのアルバムを変換したら本人から私のツイートに返事があって感激した。