一月ほど前のことですが
長谷弘工業さんからスピーカーとアンプ/プレイヤー用のインシュレータを
お貸しいただき試聴させていただきました。
ティラミスという商品です。特殊な木材と繊維の積層構造になっていて形状がお菓子のティラミスに似ていることから命名されたとのことです。
このような商品を評価と改善を繰り返して完成させるのは確立されたセオリーがなく音質の変化も微小なことが多いので全ての工程に手間がかかり並大抵の苦労ではないと思います。本当に凄いことだと思います。
試聴させていただいた後に長谷弘工業さんにお送りしたレポートをここに掲載させていただきます。
ティラミスの効果についてはレポートを読んでいただければわかると思いますが非常に効果があります。
設置環境の改善とインシュレータの併用をうまく組合わせて落としどころ(good compromise)を見つけることがオーディオの一つの方向だと思いました。
私の場合5-6セットのスピーカーを切り替えて使っているので全てにどのスピーカーに使用するか悩ましいです。
--- 以下スピーカー用レポート ---
この度はスピーカー用インシュレータおよびティラミスをお貸しいただき大変ありがとうございました。
先ずスピーカー用インシュレータのレポートをお送ります。
スピーカー1 サンバレー ランドセル+LM755
スピーカー2 ProAc Studio100
スピーカー3 Tannoy Autograph mini
試聴ソース
ブリテン&ロストロポービッチ アルペジオーネ・ソナタ
エラ & ルイ など
1. ランドセルをSX-3上に設置(写真1)
最初はVictorのSX-3の上に乗せた状態で音を聞きました。スピーカーの上にスピーカーを乗せるのは言語道断ですが場所が無いのでこのように使っています。
ティラミスを使うとチェロの低音部がぐっと沈みこむ感じや胴鳴りの感じが良くでます。
また音がスピーカーから開放されたように自在に空間に浮遊します。
ボーカルも同様の効果で音離れが良く、心に染み入ってきます。
2. ランドセルを椅子の上に設置(写真2)
SX-3上に設置した場合と同じ方向で効果がありますが、効果の度合いは小さくなります。
3. ProAcを椅子の上に設置(写真3)
ティラミスを使うとやっぱり音離れが良くなります。またVocalの場合マイクと口の距離が変化している様子が感じられます。音が軽やかにふわっと浮く感じがします。奥行感も出ます。ティラミスが無いと重苦しい感じがして音がスピーカーの近くに縛り付けられているような感じです。
ランドセルの場合椅子の上で効果が少なかったのにProAcでは効果が大きいのは何故かわかりません。ProAcはリジッドで鳴きが少ない箱なのに対してランドセルは箱を積極的に鳴らすタイプのスピーカーなのが影響しているかもしれません。ランドセルと一緒に椅子が鳴って相乗効果になっているような気がします。
ティラミスの代わりに袋ナットをスピーカーの下に置いた場合にはティラミス無しと有の場合の中間くらいの音になります。しかしナットに起因すると思われる付帯音が感じられます。
4. ProAcをスタンドの上に設置(写真5,6)
この場合は効果が聞き取れませんでした。
スタンドからはスパイクが上向きに出ています。ティラミスはスパイクの長さより厚いのでティラミスを使う場合はスパイクはスピーカーと接触しません。ティラミスを使わない時はスピーカーをスパイクで受けます。ProAcの場合はスパイク受けするとティラミスと同等の効果がある?ように思います。
5. Autograph miniをスタンドの上に設置(写真7)
この場合は効果が大きいです。ランドセルやProAcの場合と同様の効果です。
効果がある設置をした場合はどのスピーカーでも同じような効果があります。
以上の通りでスピーカーによって効果の出方が異なるようです。
また設置条件が悪いところほど大きな効果が得られます。
スピーカーや設置方法により違いはあるものの効果を発揮した場合には
上に書いたとおり音の重苦しさがなくなり自然で軽快な音になります。
音が喜んで飛び回っているような印象です。
レッドブルの宣伝ではないですが「ティラミス 翼を授ける」という感じです。
--- レポート以上 ---
続いてプレイヤー用のティラミスの評価を行いました。レポートの文中にもありますが私はCD用のティラミスを保有しています。今回はアナログプレイヤーでの評価を行うないました。CDで効果があったのでアナログでの効果はもっと大きいと期待していました。しかしティラミスの効果を発揮させるためにはもう少し環境を整える必要がありそうです。お借りできる期間が短かったのが残念です。
以前のブログで
振動吸収ラックについて書きましたが、ティラミスの評価の際になんとかしないといけないと思ったのがきっかけです。
アクセサリで対応できる音質改善とそうでないものがあります。したがってあるレベルまでは設置環境を整えた上でアクセサリなどで音質を向上させるのがやはり現実的だと思います。
--- 以下レポート ---
昨日と今朝プレイヤー用ティラミスの試聴をいたしました。
結果をレポートさせていただきます。
自分でも初期型ティラミスをCDプレイヤー等で使っていてその効果を知って
いますが、初期型は奥行きが短くてアナログプレイヤーには使えません。
今回貸していただいたティラミスは奥行きが30cmあるのでアナログプレイヤー
にも使用できるため楽しみにしておりました。
プレイヤー関連の機器は以下のとおりです。
ターンテーブル Linn LP-12(バルハラ)
トーンアーム SME3009SII
カートリッジ DENON DL-103
イコライザー Linn LINTO
ソース
ソニー・ロリンズ サキソフォン・コロッサス
ジューン・クリスティ fair and warmer など
結果
ティラミスを使うと音がすっきり・軽やかになります。
またシンバルやビブラフォンの乾いた感じが良くでます。
余計なノイズが無くなった結果だと思います。
そして使わない時に比べて音の定位の安定度がわずかですが高まります。
スピーカー用のティラミスを使ったランドセルで聞くボーカルは非常に魅力的です。
ティラミスの設置方法によってかなり影響を受けます。
プレイヤーの足に当たらないようにする必要があるので最初は写真1の
ように設置しました。この状態でも効果は感じられましたが写真2のように
設置した方がより大きい効果がでました。
振動系のモーターの下にティラミスが入るためだと思います。
しかしティラミスがはみ出しているので勿体ないですね。
ティラミスをはずすと音が奥に引っ込み、少しくすんだようになります。
今回評価した結果十分な効果を確認できましたが、CDプレイヤーよりもアナログプレイヤー
のほうが効果が大きいと期待していたので少し消化不良です。
効果を制約しているとしたら以下のようなことが考えられます。
・プレイヤーの足が邪魔をして最適な位置に設置できていない。
・ティラミスと接触するプレイヤーの裏板が薄く(2-3mm程度)振動してしまうのでは?
プレイヤーの足はリジッドな枠につけてあるので足のほうが有利ではないか?
ティラミスの長さがプレイヤーの奥行きより長ければリジッドな枠にも裏板にも接触
するのでもっと効果があるかもしれない。
・ラック、床とプレイヤーのサスペンションで形成される機械的な振動特性が
低周波(20~30Hz以下?)で共振していると思われる。
ティラミスを使っても共振を無くすことはできないので共振の影響が音に出ている
かもしれない。
以上のように(期待に対して)多少の欲求不満があるものの確かな改善が聞き取れました。
うまく使いこなせばさらに大きな効果が得られるのではないかと思います。
現在上記の共振の問題を改善するラックを検討しているのでそれができたら
もう一度チャレンジしてみたいと思います。
--- レポート以上 ---
上に書いたとおり全てをアクセサリが解決してくれるわけではありません。インシュレータようなアクセサリの場合、本道はオーディオ機器の設置環境を整えることだと思います。設置環境(床の強度やラックの性能など)はコストをかけても音質の向上は頭打ちになってきます。設置環境がそれなりのレベルになればアクセサリを導入すれば設置環境を改善するよりもはるかに少ないコストで音質改善をすることが可能だと思います。
その概念図を以下に示します。
ティラミスを試聴させていただきスピーカーとプレイヤーではアクセサリの効果の出方が少々違うのではないかと思いました。あくまでも今回の試聴における私の主観ですのでもっと検証する必要があります。
このようにアクセサリは環境によって効果の度合いが異なります。使ってみないと効果が判らないので貸し出していただき実際に体験できたのは本当にありがたかったです。
今回のブログはレポートの記述に合わせて”ですます調”になってしまいました、、、