松本のザ・ハーモニーホールで開催されたオルガンのコンサートに行ってきた。
第一部 大公開 オルガンのひみつ
第二部 2台のオルガンの競演
第一部ではオルガンビルダーのマテューがオルガンを全て分解した状態から構造を説明しながら公開組み立てを行った。初めての体験で非常に面白かった。
組立て途中にパイプに口を当て息を吹き込んで音を鳴らせてみせたのは興味深かった。フルー管やリード管のどの部分から空気を送り込み音を出すのかが良くわかった。
フルー管はまさにリコーダーと同じ構造だ。リコーダーの吹き口に相当する部分から空気を吹き込む。リード管は通常のクラリネットやSAXではリード部分に空気を送り込む。一方オルガンではリードと逆の方向から空気を送り込むとリードが振動する。
以前オルガンの構造に興味を身って少し調べたことがあるがイメージをつかんだだけだ。今回その構造を目の当たりにできて非常に面白かったしその時には漠然としていた構造が良くわかった。
組み立て終わるとチューニングを行った。チューニングには何時間もかかると思ったら数分で終了した。チューニングにはオリジナルのチューナーを使ったがチューナーはかなりの優れもので非常に興味深かった。
もの作り的な視点から見ると以下のような点が非常に参考になった。
・内部構造がすごい
直方体の小さな空間に204本のパイプとそれを駆動するための機構を相互に干渉しないように実に巧みに組み込んでいる。しかもただ詰め込むだけではなく音を考慮している。
・保守性が優れている
1時間ほどの間にステージ上で説明しなながら組み立てを行った。そして調律までやってしまう。(厳密にはその後の15分かけて最終の組み立てと調律を行ったが1時間でも1時間15分でも同じようなもの)簡単に分解し、修理し、再び組立てることを考えて設計されている。例えが適切かわからないがどんな条件下でも簡単に分解・掃除ができる軍用拳銃のような感じだ。
第二部は組立てたばかりのオルガンとホール常設の大オルガンを使っての演奏。ホールのオルガニストの原田さんとゲストの岡本さんが連弾や大・小オルガンのアンサンブルをし気持ち良い音楽を聴かせてくれた。
小型のポジティフオルガンが意外にボリュームたっぷりな音量でびっくりした。
またポジティフオルガンで演奏した モーツアルトの「自動オルガンのための幻想曲」は音色が本当に良い雰囲気だった。
大オルガンで足だけ使う演奏では足元をカメラで撮影してプロジェクターに映してくれたので非常に良かった。
演奏終了後は我々来場者がステージに上がりポジティフオルガンを近くで見るこができた。
その際マテューに鉛を(金属パイプは鉛と錫の合金。鉛を大量に使用している)使ったオルガンをヨーロッパで販売できるか聞いてみた。全然問題ないとのこと。
調べてみたらRoHS指令は電気・電子機器だけでその他の製品には適用されていないようだ。PoHS指令は大量生産され製品寿命の短い製品にのみ規制をかけるもののようだ。少量生産で寿命が長いオルガンのようなものは対象外だ。
仮に網羅的に規制をかけるとしてもヨーロッパの伝統的なオルガンに対してEUは規制をかけないだろう。
鉛フリーオルガンでは笑えないし、どんな音がするか想像したくもない。