スタンドアローン・スピーカー切替器の概仕様などを紹介します。仕様は現行品と同じです。スイッチに使用しているMOS-FETでより高性能なものが入手できればオン抵抗がさらに低くなる可能性があります。
- 切り替え数 3(NORMALモード)/6(EXPANDモード) DIPスイッチでモード切り替え
- オン抵抗 12mΩ typ 入力-出力端子間
- 最大印加電圧/電流 30Vrms/100W 8Ω
- 最大電流 180A(スイッチ素子)
- 電源 ACアダプタ使用
- 外形寸法 幅222mm 高さ86mm 奥行き175mm
- 質量 約2.2kg
- 操作 赤外線リモコン
下の写真は機能確認中の様子です。
SSU-01を改造して動作確認をしています。右側手前のユニバーサル基板に追加部品を載せてあります。追加部品は数点で回路の変更は僅かです。
コントローラのファームウェアはスタンドアローン版にするために大きく変更してあります。
さてスタンドアローン版の特徴は以下の通りです。
(1) リモコンで操作可能
(2) 半導体スイッチを使用して低オン抵抗を実現
ここまでは能率補正機能付スピーカー切替器から引き継いでいる特徴です。
以下がスタンドアローン版に搭載している新機能です。
(3) 絶対位相反転機能(オプション)
(4) スムース切り替え機能
(5) DC保護機能
上記(3)~(5)について説明します。
・絶対位相切り替え機能
ステレオで左右のスピーカーの位相が逆だと非常に不快な音がします。これは左右の位相が異なるので相対位相とでも言うのでしょう。絶対位相とは楽器や声が音を発した時と同じ位相で再生するか逆位相で再生するかということです。音声信号は交流信号なので一般的に位相が逆でも関係ないですが、音の出だしなどで楽器の振動版が前に出るか後ろに下がるかの違いがわかることがあります。絶対位相の違いがわかるソースとわからないソースがあり、違いがわかってもどっちが正しいのか定かでない場合もあります。生の楽器の音に日ごろ触れている方は違いがわかりやすいかもしれません。また人の声も絶対位相がわかりやすい音源の一つだと思います。
絶対位相切り替え機能を実現するにはスイッチがもう一系統必要なのでコストが上昇します。その割には絶対位相切り替えの効果が明白に現れない場合が多いので必要性を見極めたいと思います。
・スムース切り替え機能
音楽を再生中にスピーカーを切り替えるとノイズが発生する場合があります。スピーカーAからスピーカーBに切り替えるとスピーカーAのボイスコイルのインダクタンスに流れている電流が突然遮断するので逆起電力が発生します。一方でスピーカーBの接続ケーブルやスピーカーの静電容量に充電する電流が流れます。電流が流れる時間は非常に短いですがピーク値が大きくなる可能性があります。これら逆起電力および充電電流は場合によってはスイッチや増幅器にダメージを与える可能性があります。
能率補正機能付スピーカー切替器では、スピーカーを切り替える直前に音量を絞り、切り替え直後に音量を元に戻していたので上記の問題は発生しません。しかしスタンドアローン版ではアンプの出力を制御できないので対策が必要です。アンプの出力電圧を監視し出力電圧が低い瞬間にスピーカーを切り替えることによりスピーカー切り替え時のノイズを低減します。
しかしアンプの出力電圧を監視するためにはアンプ出力とスピーカー切替器の基準電位(=グランド電位)を合わせる必要があります。アンプと切替器のグランド電位を合わせると様々な問題が発生し実現が困難でした。これを解決してスピーカー切り替え時のノイズを抑制しています。
・DC保護機能
折角アンプとスピーカーの間にスイッチが入っているので、スイッチを有効活用してアンプからDC漏れが起きた際にスイッチを遮断する機能を設けました。アンプ出力を監視してDCを検出したらスイッチをオフすれば良いのですが、スムーズ切り替え機能の項で説明したようにアンプ出力の監視をすることは困難でした。今回スムース切り替え機能の電圧監視機能を使いコントローラのファームウェアでDC検出を行っています。したがって余分な部品コストがかからずにDC保護が可能です。
メーカー製のアンプではDC保護機能がついていることが多いですが自作アンプやビンテージアンプを使っている場合には有効ではないでしょうか?とにかく邪魔になる機能ではないですし、切替器の性能を犠牲にする機能でもないので使用する上で安心感を持っていただけると思います。
もちろんどんなケースでもDC漏れからスピーカーを保護するわけではありません。DCの漏れ具合やスピーカーの壊れやすさなどで保護できない場合もあります。
以上スタンドアローン版の説明をいたしました。
能率補正機能はついていませんが、椅子に座ったまま音楽再生中でも自由自在にスピーカーを切り替えることができます。スピーカー切替器としての性能は第一級です。
現在の状況
基本機能の確認は全て終了しました。製品化可能と判断しました。
今後行う作業は
・基板の試作、評価(アートワーク済み)
・ケースの試作、評価(設計未 変更箇所は追加穴開とシルク変更)
・U/Iの最適化とファームウェアの修正、検査
コストに関しては現行品より増えるのはACアダプター程度です。しかし円安により主要部品の価格が上がっています。吸収できるかコスト計算を行いますが追加セットと同額は厳しいと思います。10%前後の価格上乗せがあると思います。
まことに勝手ですが需要があることを確認して今後の作業を進めたいと思います。
スタンドアローン・スピーカー切替器に興味をお持ちの方はご連絡くだい。
よろしくお願いします。