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セイジ・オザワ CD・LPコンサート

昨年まで「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」と呼ばれていた音楽祭は今年から「セイジ・オザワ松本フェスティバル」と名前を変えました。

総監督の小澤征爾さんはお風呂で転倒して腰を痛めたので残念ながら指揮をすることができません。ジャイアント馬場か?と突っ込みを入れたくなります。(わかる人だけわかればいい)それでも小澤さんは松本入りしてもしかしたら負担のかからない範囲で指揮をするとの話を聞いています。くれぐれも無理をしないようにしてください。

例年、新さんがオーディオ装置を持ち込んで素晴らしいレコード・コンサートをしてくれます。今年も8月28日から9月6日まで松本市のキッセイ文化ホールで開催されています。

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私は本日(8月29日)CD・LPコンサートを聴きに行って来ました。今回の目玉はなんと言ってもGIPラボラトリーのスピーカーです。ウエスタン(WE)を復刻した現代版フィールド型スピーカーです。

http://www.gip-laboratory.com/home.html

昨年の真空管オーディオフェアで聴きましたが出展の合間に抜け出して最後尾でちょっと聴いただけなのでよくわかりませんでした。今回は昨年聴いた機種よりもグレードが上の機種で新さんによると800万円くらいだそうです。GIPラボラトリーから貸してもらったそうです。松本でこのような貴重な装置の音を聞けるのは新さんのおかげだと思い改めて感謝します。

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また従来はCD再生のみでしたが今年はレコードの再生も行っています。そのためプリアンプには下の写真のものを使っていました。自作マニアのために(?)上の蓋を開けてくれています。

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今日は小澤幹雄さんが持参したJazzのレコードを解説付きで聞かせてくれました。新さんはレコードをかける作業に集中しています。

演奏したレコードは古いものが多く、最初のJazz録音と言われるODJB(オリジナル・デキシー・ジャズ・バンド)から始まりベニー・グッドマン、ビリー・ホリデイ、チャーリー・クリスチャン、ベイシーとエリントンなど古い演奏を主体に聞かせていただきました。最も新しいものでもカーティス・フラーやドナルド・バードであり私にはぴったりで小澤さんの解説にうなづきながら楽しみました。でもマイルス・デイビスなどがあっても良かった?とおもいました。きっと来年の続編でやってくれると期待しています。

ビリー・ホリデイ、ベニー・グッドマンなどは音が非常に生々しく素晴らしかったです。とくにサックスが空間に漂う様子は背筋がぞくっとするように感じて恐れ入りました。

休憩中に小澤さんと話をしました。小澤さんは油井正一さんの本や放送をもとにご自分の体験を肉付けされて話している言われてました。私もJazzを聴き始めた頃雑誌やFM放送で油井さんの話を読み・聞いてJazzを学びました。油井さんの話は本当に講談みたいに面白かったですねえ などと話をさせていただきました。

小澤さんは油井さんからJazzを学んだと話していましたが私もそうです。・・・とすると小澤さんは兄弟子?

今までこのレコードコンサートではサイトウ・キネンの演奏が主体でしたが今日はJazzを聴くことができて非常に楽しかったです。それも油井さんトリビュートのようなコンサートで本当にうれしかったです。

ところでコンサートのパンフレットを見ると新さんは「戦後70年を機に昭和天皇の「玉音放送」音盤の復刻を担い、先日、NHKで放映された。」と書いてあります。天皇の玉音放送をダイレクト・トランスファー・シリーズと同じシステムでディジタル化したんですね。

私は以前から何故日本が戦争をしたかを知るために太平洋戦争前後の歴史書を読んでいます。最近は新しい資料が公開されたこともあるので昭和天皇や終戦に係る本を読んでいます。この所の安保法をめぐる動きも気になります。そのようなことを含めて新さんが玉音放送の復刻をされたことがものすごく印象に残りました。

玉音放送は非常に重要な歴史的な物であり今まで録音という技術的な観点から考えてみたことが無かったですね。技術的にはどうなのかと新さんに今度お会いしたら聞いてみたいです。

今年の真空管オーディオフェア

昨年の真空管オーディオフェアに出展しました。

会社勤めの時にはショーの説明員を何度も経験しましたが自分の事業で行うのは初めてで、お客様の意見を直接聞くことができ関係者の方々と知り合いになることもできました。本当に良い経験で大きな収穫がありました。

今年の真空管オーディオフェアにも出展しようと思っていましたが見送ることにしました。

残念ながら新製品が間に合わなかったからです。スピーカー切替器をスピーカーメーカーさんと協同で出展することも検討しましたが相互に効果的なデモができないこともあり断念しました。

来年は新製品を間に合わせて展示できるようにしたいと思います。

検討中の製品はパワーアンプです。いま販売中の製品はプリアンプとスピーカー切替器です。ですから次はパワーアンプです。アンプのターゲットは現在使っているWestlakeのスピーカーを鳴らしきることです。このスピーカーの能率は97dB/W/mと高いのですが公称インピーダンスが4Ωで最低インピーダンスは2Ω近くまで減少するのでドライブがかなり難しいスピーカーです。BoulderのアンプがWestlakeにはベストマッチと言われていますがBoulderのアンプはとても高価で買うことができません。これを超えるアンプを作りたいと考えています。

今までのアマチュアとして何台ものパワーアンプの設計をしていますがその時は気楽でした。今は市場に山ほどあるアンプを凌駕しないとならないので苦労しています。設計にあたり基本的な部分から勉強しなおしています。アンプの技術の基本的な部分、すなわちエミッター接地だとかゲインの計算方法だとか負荷線の引き方などはオーディオ誌や単行本に書かれています。しかし基本設計をプロフェッショナルレベルに持ち上げるような技術論を書いた文献はあまりないようです。多分そのような技術はオーディオメーカーの企業秘密であり簡単に公開できないと思います。そうかと言ってオーディオアンプの設計方法は大学などのでの研究対象ともなりません。この部分を勉強していますが私が知らなかったことがかなりあり本当に役にたちます。

学生ではないのでいつまでも勉強していてもしょうがないのですが、パワーアンプはプリアンプなどと比較すると製造原価がはるかに高いので慎重に進めたいと思います。物を作ることも大事ですが作る前の検討・設計でできる限り完成度を上げたいと思います。ちかいうちに評価用の試作をしたいと思います。

モバイル向けサイトについて

ブログの更新がしばらく途絶えていました。

4月7日から2週間ほど家内と一緒にスコットランドに旅行していました。

私と家内は以前スコットランドに住んでいましたが2009年にスコットランドで愛犬のCharlieが亡くなりました。その七回忌のためにスコットランドを訪問しました。

Charlieと一緒に歩いた丘を訪れ、そこでCharlieの遺灰を撒いて冥福を祈りました。

下の写真は丘へ向かう道です。いつもここから丘に登り、森の中を通って家に帰ってきました。

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そしてスコットランドの友人達と久しぶりの再会をしてきました。皆元気で、私と家内を暖かく迎えてくれました。本当に懐かしく涙が溢れ出るような感じでした。スコットランドは4月~5月が最も天気が良い季節です。多少寒かったものの天候に恵まれて楽しい時間をすごしました。

私たちが2009年にスコットランドを去る時には工期が遅れに遅れていつできるかと思っていたトラムが開通していました。ビックリ!市内の観光に便利に利用しました。

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スコットランド滞在中はテレビで総選挙のことばかり報道していました。スコットランドの人達とも選挙のことを話しました。ただ踏み込んだ話はできませんでした。私の知識が充分でないこともありました。また彼ら自身もおおいに迷っているようでした。(今日の時点で保守党が単独過半数 こんなことを誰が予想したでしょうか)

帰国後色々とありブログの更新が遅れてしまいました。

今回の話題はサイトのモバイル対策です。

私は実店舗を持たず田舎で事業を行っているのでインターネットのサイトが市場と繋がる上で大きな役割を果たしています。

重要なコミュニケーション手段の一つであるネットに関して最近Googleからモバイル対策をしていないと検索順位を落としますというメールが来るようになりました。

しばらく放置していましたが心配になり重い腰を上げてモバイル対策なるものをやってみることにしました。

私がサイトを作るために使用しているツールにはモバイルサイトを同時作成する機能があるので、それを使いモバイルサイトを作成しました。その結果、モバイル向けらしいサイトの表示がされました。しかし意図しない表示が散見されました。また特定のページは表示すらされません。

ここで初めてモバイル表示について調べてみました。モバイル表示には大きく分けて2種類の方法があるようです。

一つはPCサイトとモバイルサイトを独立して作成し、アクセスの入り口で振り分ける方式。日経BPのサイトをスマホでアクセスするとモバイル用のサイトを表示するか?の画面が表示されます。これに該当すると思います。

もう一つはレスポンシブとい方式でアクセスする端末により画面のデザインを自動的に変更するものです。レスポンシブのサイトを画面のサイズを変えながら見たことがないのでわかりません。Googleの説明では綺麗にデザインが切り替わっていますが、このようにスマートな画面を作るのは非常に難しいと思いました。

私が使用しているツールは前者の方法です。アクセスをした端末の種類をhttp_user_agent という関数により知ることができます。WindowsかMacかiOSかなどです。どんな端末からアクセスしているのかいつもモニタされているんですね。

振り分けは.htaccessというファイルで上記のhttp_user_agentを参照して行っています。.htaccessの記述内容を読んでもさっぱりわかりません。ApacheというWEBサーバー用の記述言語や正規表現というものを知る必要があります。また.htaccessに記載されている内容を知るためには複数のサイトを調べる必要があり大変苦労しました。正規表現といえば以前少しやっていた言語学に関する仕事では正規表現の一部を使っていたことをやっと思い出しました。それほど正規表現というものは通常は使わないものですね。

その上.htaccessではPHPを参照しているのでその言語も理解する必要があります。

これらの言語はCの標記に近いのである程度推測はできますが微妙に違うので勝手に解釈すると大間違いになります。

色々と勉強してモバイル機器では表示できないページを表示できるようになりました。しかし綺麗に表示するためにはモバイル向けにHTMLやCSSを書き換える必要があります。

今のところ下手なモバイル対策をするよりもPCサイトのままでいるほうがモバイル機器からもよほど見やすいことがわかりました。(Googleの評価は別として)

.htaccessを変更し再び元に戻しましたが、今まで全く縁が無かったWeb関係の記述方法について知識を得たことは収穫でした。多分一週間もすれば、すっかり忘れてしまうけどね。

LInn Space Optimization

Phile Web の記事によるとDSの新シリーズのリリース発表と同時にSpace Optimization機能がリリースされたそうだ。 LInnの呼称ではSpace Optimisationという。(zとsが異なる)Linn特有のケルト語的な表記だと思う。

この機能はLinnのEXACTシリーズの機能をそれ以外のスピーカーを使ったシステムにも提供するものである。しかもSpace Optimisationは現行機種だけでなく旧機種にも無償で提供されるそうだ。旧機種までサポートの対象にするのは開発側からすれば非常に多くの工数を要する。それでも旧機種のユーザを切り捨てずに最新のサービスを提供する姿勢を私は非常に尊敬する。

この機能により部屋の特性やスピーカーの配置に応じて再生音を補正することができる。この機能ではAccuphase のDGシリーズが有名であり私も初代のDG-28を使っている。DG-28は非常に効果があり素晴らしい。しかし48kHzサンプリングなので伝送できる帯域が制限されるのが玉に傷。最新のDG-58などを買えばよいが財力的に無理。最も良い使い方はマルチアンプ方式にして低域にDG-28を使うことだ。部屋の定在波の影響を受けるのは主に500~600Hz以下でありそれ以上の周波数はトーンコントロール程度の補正機能で対処できる。500~600HzならDG-28でも十分。

現在我が家のメインシステムのパワーアンプとデバイダーを構想中なのでそれができたらDG-28をもう一度活用する予定。もちろんそのパワーアンプはSophisonantの次の製品にしたいと思います。

LinnのSpace OptomisationはAccuphaseと違って部屋の寸法などのパラメータを設定して補正する方式である。Accuphaseのようにマイクで補正してもマイクの位置で身動きせず聞かないとだめ?という疑問がある。実際に聞いてみるとそれほどシビアではない。

リスニングルームの音響特性を研究されている石井伸一郎さんをはじめとする方々によりシミュレータと実際の部屋の音響特性の相関が実証されている。

Linnの方式では部屋の寸法などを設定して補正するので正確なモデル化はできないが、上記のようにシミュレーションの有効性が実証されているし、完全な補正に限界があるし、人間の検知能力も限られているのでLinnの方式でも十分な効果があると考える。きっとLinnもDGシリーズを購入して効果を比較していると思う。

LinnはSpace Optimisation対応のスピーカーをアナウンスしていて、それ以外のスピーカーは対応していないようだ。これは困る。Linnのページでは対応スピーカーのリクエストを募集していたので私の持っているスピーカーを伝えた。

実際のところ私は2009年にSpace Optimizationのような機能を実現して欲しいとLinn Forumsで要望を出した。当時私の要望の背景にあったのはPCでテスト信号を生成しDSで再生し、PCで録音して補正処理を行った後DSのパラメータを生成してDSに送るといものであった。(メーカーに具体的な実現方法を示すことは失礼なのでサジェストだけだったが)

Space OptimisationではLinnがスピーカーを測定してパラメーターを作成したあと対応スピーカーとしてリストしないとならない。またLinnが測定したスピーカーのパラメータが作成されるのでスピーカーの個体差を補正できない。(EXACTで工場出荷前にスピーカーの特性を測定してパラメータを生成するので固体差の問題はない) 私が提案した方法だとLinnがSpace Optomisationに対応するためにスピーカーの測定を行う必要がないので省力化が可能。また個体差が吸収できる。DIYのようなスピーカーでも補正できる。よいことばかりのはずだ。

Linnが現在のSpace Optimisationの方式にしたのはおそらく特許の関係か、自社のEXACTシステムと他社スピーカーの差別化をするためであろう。

私がForumsに提案した当時、殆どのReplyがそんなことをするよりアンプやスピーカーを替えるべきだという反応でこの機能を理解してくれる人も居なかった。私もイコライザの伝道師でもないのであまり強くは主張しなかった。

しかしなかには以下のようなコメントがあったが、まさにそのようになった。

Actually, 私の名前 would only have to wait minus eleven years for Linn to incorporate his suggestions into an actual product. I believe the Kolektor was introduced in 1998, and it did have tone controls. I have no doubt Linn will continue to follow in this vein, which is why–even as we speak–I’m saving up for the not-so-soon to be introduced Klimax Kontrol Kaos with the digital five band parametric equalizer Wink

今こうして11年もかからず6年くらいで私の提案に近いことが(私の提案がきっかけになったか別の理由によるかわからないが)実現されて非常にうれしい。

他のメーカーのことを喜んでいるより私のことを考えないといけないですね。

Silje

昨年の12月から歯医者に通っています。なさけないことに私は歯医者に行くのが非常に怖いです。でも行くしかない時もあります。そんな時には悲壮な決意を持って友人の歯科医院に行きます。

先日の治療の際「このCD、まちがえて2枚買っちゃったから上げます。」と友人の歯科医からSiljeのCDをもらいました。

418ARM6+0XL

初めて聞く歌手なのでどうかなと思いましたがすごく気に入りました。一聴して思ったのはRickie Lee Jonesのような感じだということ。そしてバックのミュージシャンが上手い。

歯医者さんに行ってよいアルバムを教えてもらってラッキー!歯医者に行くのも苦行ばかりでないですね。

でも歯医者さんがport of call = 行きつけの場所  になるのは遠慮したいです。まさか友人の歯科医がいつも来るようにという意味をこめてこのCDを私に呉れたのではないと思いますが、、、

Seljeは北欧ノルウェーの歌手ですが私はヨーロッパのミュージシャンをあまり知りません。私が時々お邪魔している「エオンタ」というJazz喫茶ではヨーロッパのJazzを聴かせてくれますがいつも「いいなあ」と思います。でも自分ではCDを買って聴くことがあまりないです。今回のSiljeや彼女のバックをやっているミュージシャンをたどればきっと良い音楽が聴けると思うので少し追っかけてみたいと思います。

このアルバムは2000年発売。もう15年も前。世の中には良いものが一杯あるのに知っているのはそのなかのごく僅か。人間の限界を感じます。

 

スタンドアローン・スピーカー切替器(その2)

スタンドアローン・スピーカー切替器の概仕様などを紹介します。仕様は現行品と同じです。スイッチに使用しているMOS-FETでより高性能なものが入手できればオン抵抗がさらに低くなる可能性があります。

  • 切り替え数      3(NORMALモード)/6(EXPANDモード) DIPスイッチでモード切り替え
  • オン抵抗       12mΩ typ 入力-出力端子間
  • 最大印加電圧/電流 30Vrms/100W 8Ω
  • 最大電流       180A(スイッチ素子)
  • 電源          ACアダプタ使用
  • 外形寸法       幅222mm 高さ86mm 奥行き175mm
  • 質量          約2.2kg
  • 操作          赤外線リモコン

下の写真は機能確認中の様子です。

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SSU-01を改造して動作確認をしています。右側手前のユニバーサル基板に追加部品を載せてあります。追加部品は数点で回路の変更は僅かです。

コントローラのファームウェアはスタンドアローン版にするために大きく変更してあります。

さてスタンドアローン版の特徴は以下の通りです。

(1) リモコンで操作可能

(2) 半導体スイッチを使用して低オン抵抗を実現

ここまでは能率補正機能付スピーカー切替器から引き継いでいる特徴です。

以下がスタンドアローン版に搭載している新機能です。

(3) 絶対位相反転機能(オプション)

(4) スムース切り替え機能

(5) DC保護機能

上記(3)~(5)について説明します。

・絶対位相切り替え機能

ステレオで左右のスピーカーの位相が逆だと非常に不快な音がします。これは左右の位相が異なるので相対位相とでも言うのでしょう。絶対位相とは楽器や声が音を発した時と同じ位相で再生するか逆位相で再生するかということです。音声信号は交流信号なので一般的に位相が逆でも関係ないですが、音の出だしなどで楽器の振動版が前に出るか後ろに下がるかの違いがわかることがあります。絶対位相の違いがわかるソースとわからないソースがあり、違いがわかってもどっちが正しいのか定かでない場合もあります。生の楽器の音に日ごろ触れている方は違いがわかりやすいかもしれません。また人の声も絶対位相がわかりやすい音源の一つだと思います。

絶対位相切り替え機能を実現するにはスイッチがもう一系統必要なのでコストが上昇します。その割には絶対位相切り替えの効果が明白に現れない場合が多いので必要性を見極めたいと思います。

・スムース切り替え機能

音楽を再生中にスピーカーを切り替えるとノイズが発生する場合があります。スピーカーAからスピーカーBに切り替えるとスピーカーAのボイスコイルのインダクタンスに流れている電流が突然遮断するので逆起電力が発生します。一方でスピーカーBの接続ケーブルやスピーカーの静電容量に充電する電流が流れます。電流が流れる時間は非常に短いですがピーク値が大きくなる可能性があります。これら逆起電力および充電電流は場合によってはスイッチや増幅器にダメージを与える可能性があります。

能率補正機能付スピーカー切替器では、スピーカーを切り替える直前に音量を絞り、切り替え直後に音量を元に戻していたので上記の問題は発生しません。しかしスタンドアローン版ではアンプの出力を制御できないので対策が必要です。アンプの出力電圧を監視し出力電圧が低い瞬間にスピーカーを切り替えることによりスピーカー切り替え時のノイズを低減します。

しかしアンプの出力電圧を監視するためにはアンプ出力とスピーカー切替器の基準電位(=グランド電位)を合わせる必要があります。アンプと切替器のグランド電位を合わせると様々な問題が発生し実現が困難でした。これを解決してスピーカー切り替え時のノイズを抑制しています。

・DC保護機能

折角アンプとスピーカーの間にスイッチが入っているので、スイッチを有効活用してアンプからDC漏れが起きた際にスイッチを遮断する機能を設けました。アンプ出力を監視してDCを検出したらスイッチをオフすれば良いのですが、スムーズ切り替え機能の項で説明したようにアンプ出力の監視をすることは困難でした。今回スムース切り替え機能の電圧監視機能を使いコントローラのファームウェアでDC検出を行っています。したがって余分な部品コストがかからずにDC保護が可能です。

メーカー製のアンプではDC保護機能がついていることが多いですが自作アンプやビンテージアンプを使っている場合には有効ではないでしょうか?とにかく邪魔になる機能ではないですし、切替器の性能を犠牲にする機能でもないので使用する上で安心感を持っていただけると思います。

もちろんどんなケースでもDC漏れからスピーカーを保護するわけではありません。DCの漏れ具合やスピーカーの壊れやすさなどで保護できない場合もあります。

以上スタンドアローン版の説明をいたしました。

能率補正機能はついていませんが、椅子に座ったまま音楽再生中でも自由自在にスピーカーを切り替えることができます。スピーカー切替器としての性能は第一級です。

現在の状況

基本機能の確認は全て終了しました。製品化可能と判断しました。

今後行う作業は

・基板の試作、評価(アートワーク済み)

・ケースの試作、評価(設計未 変更箇所は追加穴開とシルク変更)

・U/Iの最適化とファームウェアの修正、検査

コストに関しては現行品より増えるのはACアダプター程度です。しかし円安により主要部品の価格が上がっています。吸収できるかコスト計算を行いますが追加セットと同額は厳しいと思います。10%前後の価格上乗せがあると思います。

まことに勝手ですが需要があることを確認して今後の作業を進めたいと思います。

スタンドアローン・スピーカー切替器に興味をお持ちの方はご連絡くだい。

よろしくお願いします。

 

スタンドアローン・スピーカー切替器

能率補正機能付スピーカー切替器SSP-01/SSU-01はスピーカーを切り替えて音楽を楽しむために非常に有効なスピーカー切替器です。

いままでスピーカー切替器をご紹介する中で「切替器として優秀なのはわかるが能率補正機能はなくても良い。」というご希望を多くいただきました。能率補正してスピーカーを切り替えた場合の音を実際に聞いていただくとその良さを気に入っていただけるのですが、従来と同じ仕機能のスピーカー切替器を使いたいと考えている方もいらっしゃいます。

そこでSSU-01のみで動作するスピーカー切替器を検討しています。SSU-01を改造して基本動作の確認を行い目標仕様が実現できることがわかりました。

簡単に説明すると

・SSU-01のみで動作する。

・SSU-01のRJ45コネクタ部に赤外線の受光素子を配置

・ACアダプタからSSU-01に電源を供給

以上により能率補正機能こそないものの非常に使いやすく高性能なスピーカー切替器が実現できます。

もちろん製品名はSSU-01ではなく別の型番になります。

価格は未定ですが追加セットの価格より多少高い程度を目指しています。

単純なスピーカー切替器では面白くないのでいくつかの新技術を搭載しようとしています。ただいま特許の明細書を作成中ですが特許の出願後詳細な仕様を公表しようと思います。

能率補正機能付スピーカー切替器のジュニア版として考えています。

ご興味のある方は今後の情報発信にご期待ください。

オルガン・ビルダーがやってきた!

松本のザ・ハーモニーホールで開催されたオルガンのコンサートに行ってきた。

第一部 大公開 オルガンのひみつ

第二部 2台のオルガンの競演

organ_builder

第一部ではオルガンビルダーのマテューがオルガンを全て分解した状態から構造を説明しながら公開組み立てを行った。初めての体験で非常に面白かった。

組立て途中にパイプに口を当て息を吹き込んで音を鳴らせてみせたのは興味深かった。フルー管やリード管のどの部分から空気を送り込み音を出すのかが良くわかった。

フルー管はまさにリコーダーと同じ構造だ。リコーダーの吹き口に相当する部分から空気を吹き込む。リード管は通常のクラリネットやSAXではリード部分に空気を送り込む。一方オルガンではリードと逆の方向から空気を送り込むとリードが振動する。

以前オルガンの構造に興味を身って少し調べたことがあるがイメージをつかんだだけだ。今回その構造を目の当たりにできて非常に面白かったしその時には漠然としていた構造が良くわかった。

組み立て終わるとチューニングを行った。チューニングには何時間もかかると思ったら数分で終了した。チューニングにはオリジナルのチューナーを使ったがチューナーはかなりの優れもので非常に興味深かった。

もの作り的な視点から見ると以下のような点が非常に参考になった。

・内部構造がすごい

直方体の小さな空間に204本のパイプとそれを駆動するための機構を相互に干渉しないように実に巧みに組み込んでいる。しかもただ詰め込むだけではなく音を考慮している。

・保守性が優れている

1時間ほどの間にステージ上で説明しなながら組み立てを行った。そして調律までやってしまう。(厳密にはその後の15分かけて最終の組み立てと調律を行ったが1時間でも1時間15分でも同じようなもの)簡単に分解し、修理し、再び組立てることを考えて設計されている。例えが適切かわからないがどんな条件下でも簡単に分解・掃除ができる軍用拳銃のような感じだ。

第二部は組立てたばかりのオルガンとホール常設の大オルガンを使っての演奏。ホールのオルガニストの原田さんとゲストの岡本さんが連弾や大・小オルガンのアンサンブルをし気持ち良い音楽を聴かせてくれた。

小型のポジティフオルガンが意外にボリュームたっぷりな音量でびっくりした。

またポジティフオルガンで演奏した モーツアルトの「自動オルガンのための幻想曲」は音色が本当に良い雰囲気だった。

大オルガンで足だけ使う演奏では足元をカメラで撮影してプロジェクターに映してくれたので非常に良かった。

演奏終了後は我々来場者がステージに上がりポジティフオルガンを近くで見るこができた。

その際マテューに鉛を(金属パイプは鉛と錫の合金。鉛を大量に使用している)使ったオルガンをヨーロッパで販売できるか聞いてみた。全然問題ないとのこと。

調べてみたらRoHS指令は電気・電子機器だけでその他の製品には適用されていないようだ。PoHS指令は大量生産され製品寿命の短い製品にのみ規制をかけるもののようだ。少量生産で寿命が長いオルガンのようなものは対象外だ。

仮に網羅的に規制をかけるとしてもヨーロッパの伝統的なオルガンに対してEUは規制をかけないだろう。

鉛フリーオルガンでは笑えないし、どんな音がするか想像したくもない。

YAMAHA F-1

ヤマハのF1用エンジンとして有名なOXシリーズの話?

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いえいえ、ヤマハのエレクトーン F-1の話です。

かつて1965年に製造されたヤマハの最高級エレクトーンの名はヤマハ F-1。

松本歯科大学の教授が所有するF-1を松本市に寄贈し、あがたの森ホールに設置され現役で使われているそうです。

12月6日にあがたの森でサタデーコンサートが開催されます。そのコンサートに向けて先日ヤマハF-1の整備が行われました。

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家内がその保守作業を見学に行き写真を撮影して来たので掲載させていただきます。

これがF-1です。今のエレクトーンは上下鍵盤の左右の位置がずれていますがF-1では揃っています。これはオルガンと同じ。

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F-1のエンブレム。時代を感じさせます。そして右のボタン。オルガンと同じでパイプの長さが書いてあります。

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そしてF-1の背面。これが発振器のつまったラック。鍵盤ひとつにひとつずつあるから大変なことです。今ならICやDSPで処理できるが当時はこれが普通だったのです。

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そして発振器を取り出しすとこうなっています。発振回路ひとつ毎にトランジスタとLCRがあります。おそらくコルピッツ型の発振器だと思います。コイルの捺印を見ると同じものが二つあるので半音違っても共用していると思います。それにしても鍵盤数の半分の種類のインダクタンスをそろえる必要があるので大変なことです。

またトランジスタはゲルマニウムではないかと想像します。

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スピーカーはF-1本体とは独立しています。人の背の高さくらいあります。このように多くのユニットが使われています。写真だけではよくわかりませんがヤマハ製のスピーカーのようです。16cm程度のユニットが10個、12cm程度のものが2個使われています。良い音がしそう。

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スピーカーを駆動するアンプはこれ。おそらくセミコンプリメンタリの古典的な回路のアンプでしょう。家内は「ソニーの真空管を使っていた」と言っていたがそんな筈は無い。多分ソニーのトランジスタが壊れて現在のサンケン製トランジスタに交換したと思います。

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それにしても1965年製のエレクトーンがいまだに現役でがんばっている。そしてそれがしっかりとメインテナンスされていることについて驚くと同時に感激しました。

スピーカーやアンプはオーディオでも古いものがあるのでそれほどは驚きません。

鍵盤毎に設けられた発振器がちゃんと稼動していることが凄いと思いました。このオルガンは手鍵盤と足鍵盤を合わせると154鍵?あります。その一つでも壊れると使えないのに50年の時を経て154鍵すべてが使えています。154個もあるとMTBFは約1/150になります。もちろん50年の間に何度か修理をしていると思いますがそれでもいまだに使用しているのは修理が可能でありかつ維持費が許容範囲だからでしょう。

エレクトーンのエンジニアが近くに住んでいてその方が保守されているそうです。家内の話ではその方はエレクトーンの生き字引で回路図が無くて修理していたという。本当に凄いことだ。

ヤマハ F-1は当時のエンジニアの熱意が感じられる文化的な遺産だ。

日本に何台のF-1が稼動しているのだろうか?

電子楽器博物館に昔のF-1の紹介記事が出ているので興味のある方はご覧ください。

ハーツフィールドのある部屋

先日素敵なオーディオ愛好家のリスニング・ルームにお邪魔してしてきました。

秀太郎工房さんでスピーカー切替器を使っていただいているが、秀太郎さんから「スピーカー切替器に興味を持っている方が居るので連絡してみたら?」と紹介をいただいての訪問。

訪問して話を伺うとスピーカー切替器が必要ではないとのこと。ビジネスとしては残念だが凄いオーディオ・システムの音を聞かせていただき良い経験をしました。

リスニング・ルームは母屋と独立している専用の建物。オーディオ以外には何も無い非常に恵まれた環境です。部屋に入ると先ず目につくのがJBLのハーツフィールドとオリンパス。オリンパスが子供のように見えます。

当初、ハーツフィールドとオリンパスを切り替える?と思ったがハーツをオーディオ用に、オリンパスをTV用に固定して使用しているとのことです。実に贅沢なTV用スピーカーです。

ハーツフィールドは古い箱を手に入れ時間をかけて綺麗にし、ユニットをあきらめずに探して購入して完成させたそうです。ハーツフィールドの実物を見るのは初めてですがこんなに大きいとは思っていませんでした。

正面

 

下の写真はソース機器およびプリアンプ。CDプレイヤーはEMT981にAntelopeのクロック・ジェネレータを組み合わせています。

プリはマランツ#7。気に入った音質の固体を手に入れるために何台か交換したそうです。

手前のマッキン275はオリンパス用のアンプ。

ソース

 

 

パワー・アンプはOctaveのMRE130(多分) 真空管モノラルの超弩級アンプ。これも初めて聞きました。

Octave

 

オーディオについて色々と話をしながら音を聞かせていただいた。

部屋全体を包み込むような音で刺激的な音がしないのでいつまでも聞いていたくなる音です。私も定位や音場重視のスピーカーよりも空間を埋め尽くすような(変な表現ですが)スピーカーが好きなので話が合いました。

お話しを聞くとお金をかけて買い集めたのではなく、時間をかけて必要なものを汗を流しながらこつこつと揃えて来たようです。ここぞと思う時にはそれなりの投資をしたと思いますが、手間と労力を惜しまず若い頃からの夢を着実に実現されているように思いました。

普段聞いているCDを持って再び訪問させていただきたいと思いました。