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Delius

春の便りが各地から届いている。

ここ松本はまだ桜が咲いていないが1週間ほどの間に開花すると思われる。

英国のDeliusという作曲家は叙情的な曲を書くので心が癒される。全ての作品を聞いたわけでないが、劇的な展開はなくゆったり・穏やかな感じの曲が多い。一聴して盛り上がりに欠けるのでつまらなく感じる場合があるが、ゆったりして心が落ち着く。

特に春の情景を描いた”On Hering the First Cuckoo in Spring”は私の好きな曲だ。

ゆったりした旋律が春の訪れを感じさせ、クラリネットがカッコーの鳴き声を聞かせる。心に染み入ってくる。

日本では春というと梅と鶯というイメージだ。英国ではカッコーが鳴くのが定番なのかどうか記憶に無いがこの曲を聞くと英国の田園地帯の草原や丘の景色を思い出す。以下は私が持っているCDのジャケットだがちょうど写真にあるような丘を良く歩いたものだ。

delius

良い曲なので是非聞いて欲しい。

窓から外を見ると、春らしい景色が目に入って来る。耳を澄ませばきっとカッコーの声が聞こえてくるはずだ。

DeliusのCD

 

アンプの回路について

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がある。今年は彼岸の入りまでは暖かくその通りだと思っていた。しかし春分の日の今日は寒くてそんなこともないと思う今日この頃。

次の製品の候補であるアンプについて検討している。私はアンプ類(アンプだけでなく回転系を含まないDACなどの機器を含む)の音質は80%が回路構成が決め残りの20%を実装が決めていると思う。このように決め付けてしまうと異論があるかもしれないし、誤解を招くかもしれない。

例えば音質的に優秀な回路をバラックで組んだ場合の音質と、音質的に劣る回路を贅を尽くした実装をした場合の音を比較すれば前者のほうが良い音がするから回路の比率が大きい。さらに回路では容易にひどい音が出せるが実装でひどい音を出すことは困難だ。

ただ上記は詭弁であり、本来議論すべきことは最高の回路と最高の実装を組合わせた時にそれぞれがどの程度の比率を持っているかであろう。

あえてその議論からはずれて上記の事例を示したのは先ず良い回路を作らないといくら実装で頑張っても意味がないといいたかったからである。そして最近の高級オーディオは回路もそれなりに凄いとは思うが実装にコストをかけて信じられない価格になっている。20%程度の比率しか占めない実装で他と差別化するためには大変なコストが必要だ。アルミブロックを削りだすとか、凄く重くするとか、、、高級オーディオの電子部品と機構部品の比率では機構部品のほうが多いだろう。実装に充分なコストをかければ20%がもっと増えるとは思う。しかしそれが40%や50%になることは無いと思う。

私の設計の方針は以下の通りだ。

重要部品には良いものを使い、回路構成で部品の性能の差をカバーして高音質を実現する。そして実装はポイントを押さえてコストパフォーマンスを良くしつつバランスの良いものにする。

世界最高の音質を狙わない代わりに、99.7%(3σ)の人が満足する音質をリーズナブルな価格で実現することを目指している。私が世界最高の音や世界のオーディオ愛好家の好みの分布を把握しているわけではないので3σと言うのはあくまでもイメージだ。

逆に言うと世の中にある高級オーディオは3σ以上(0.3%)の人達に向けて製品を提供するものだと思う。(ソフィソナント・オーディオのスピーカー切替器もユースケースを考えれば3σの外の人向? 私としては2.5σ位を狙っているが)

上記の通り音質の80%を占める回路設計は非常に大事。さらに使用するパッシブ部品の性能の差を回路でキャンセルできればもっと良い。そんなわけで今は考えられるいろんな回路を検討している。今までNPN/PNPの上下対象回路はあまり好まなかったが食わず嫌いはいけないのでこれらも含めて網羅的に(限りはあるが)検討している。効率的に進めないと時間ばかりかかってしまうので検討の方法を「ここは思案のしどころじゃ..」

今回はソフィソント・オーディオの設計の基本的な考え方の一部を記載した。今までは当たり障りの無い内容ばかりだったが、以前にも書いたとおり少しずつ製品開発に対する考え方を書いて行きたい。

Songs of bellows

3月16日に、ふいごの唄というパイプオルガンのコンサートが松本市のハーモニーホールで開催された。

ふいごの唄はオルガン同好会の受講者の発表会だ。以前にも書いたが、本格的なパイプオルガンを一般市民に開放しているホールは少ないそうだ。松本市はその稀な例のようだ。家内は今回の発表会に参加した。この発表会には芸大のオルガン科を出てドイツに留学していたKさんも参加した。私の家内のような初心者からKさんのようなプロ級の人まで幅の広い人々が演奏する。 東京に居る私達の友人のMさんが以前からKさんにオルガン習っている。Mさんはどこで聞きつけたのか、ふいごの唄を聞きに来てくれた。

Kさんが放射能の影響を避けるために松本に来た時にMさんからKさんの子供をどこの中学に入れればいいかなど相談されて答えたことがある。

song of belloiws

家内は頑張って練習していたが数日前から非常に緊張していた。しかし本番ではなんとか無事に演奏することができた。本人曰く「開始直後のトリプルアクセルで転びそうになって焦ったが、ここでへこたれないぞと立ち直って頑張った。」とのこと。ひやひやしながら聞いていたが私も一安心。

Kさんはさすがに凄く、デュルフレという作曲家の組曲を講師の保田先生と楽章を分け合って弾いた。

今日改めて感じたのはパイプオリガンの音は、モデル化しやすく本物の音と電子オルガンの音はあまり区別がつかないということだ。ホールでオルガンの音を聞いても家にあるオルガンの音と同じように聞こえてしまう。まだまだ本物のオルガンの奥深さを知らないのでなんとも言えないが、、

コンサートの後はMさんや高校の時の友達と軽く一杯やり、楽しい時を過ごした。

松本のハーモニーホールの専属オルガニストの保田先生は今年度で退任し新しいオルガニストが4月から着任するそうだ。4月以降、一般市民のオルガン愛好家に対してどのような機会が与えられるのか、そしてふいごの唄のような発表会があるかは不明だそうだ。

しかし家内は来年はどんな曲を弾くか既に考えている。

私の個人的な意見だと、今回のプログラムはほとんがバッハのオルガン曲であり変化がなかった。少しは違う曲を弾くのがよいと思う。

例えばバッハの(やっぱりバッハ?)ゴールドベルグ変奏曲のオルガン版とかホルストの惑星のオルガン版とか。ネットで探し始めたがゴールドベルグのAriaの無料の楽譜があったので早速ダウンロードしてみた。ピアノ版とはかなり印象が違うが面白いかもしれない。

惑星は2台のオルガンで弾く編曲と松井直美のようにパーカションと一緒に演奏するものがありオルガン独奏は厳しいかも。でもこれを弾きこなせたら格好いい。

何を演奏するかは家内が自分で決めることなので、適当にアイデアだけ出して後は口を出さないのが一番。

ティラミスの試聴

一月ほど前のことですが長谷弘工業さんからスピーカーとアンプ/プレイヤー用のインシュレータを
お貸しいただき試聴させていただきました。
ティラミスという商品です。特殊な木材と繊維の積層構造になっていて形状がお菓子のティラミスに似ていることから命名されたとのことです。
このような商品を評価と改善を繰り返して完成させるのは確立されたセオリーがなく音質の変化も微小なことが多いので全ての工程に手間がかかり並大抵の苦労ではないと思います。本当に凄いことだと思います。
試聴させていただいた後に長谷弘工業さんにお送りしたレポートをここに掲載させていただきます。
ティラミスの効果についてはレポートを読んでいただければわかると思いますが非常に効果があります。
設置環境の改善とインシュレータの併用をうまく組合わせて落としどころ(good compromise)を見つけることがオーディオの一つの方向だと思いました。
私の場合5-6セットのスピーカーを切り替えて使っているので全てにどのスピーカーに使用するか悩ましいです。
--- 以下スピーカー用レポート ---
この度はスピーカー用インシュレータおよびティラミスをお貸しいただき大変ありがとうございました。
先ずスピーカー用インシュレータのレポートをお送ります。
スピーカー1 サンバレー ランドセル+LM755
スピーカー2 ProAc Studio100
スピーカー3 Tannoy Autograph mini
試聴ソース
ブリテン&ロストロポービッチ アルペジオーネ・ソナタ
エラ & ルイ など
1. ランドセルをSX-3上に設置(写真1)
最初はVictorのSX-3の上に乗せた状態で音を聞きました。スピーカーの上にスピーカーを乗せるのは言語道断ですが場所が無いのでこのように使っています。
ティラミスを使うとチェロの低音部がぐっと沈みこむ感じや胴鳴りの感じが良くでます。
また音がスピーカーから開放されたように自在に空間に浮遊します
ボーカルも同様の効果で音離れが良く、心に染み入ってきます。
 写真1
2. ランドセルを椅子の上に設置(写真2)
SX-3上に設置した場合と同じ方向で効果がありますが、効果の度合いは小さくなります。
写真2
3. ProAcを椅子の上に設置(写真3)
ティラミスを使うとやっぱり音離れが良くなります。またVocalの場合マイクと口の距離が変化している様子が感じられます。音が軽やかにふわっと浮く感じがします。奥行感も出ます。ティラミスが無いと重苦しい感じがして音がスピーカーの近くに縛り付けられているような感じです。
ランドセルの場合椅子の上で効果が少なかったのにProAcでは効果が大きいのは何故かわかりません。ProAcはリジッドで鳴きが少ない箱なのに対してランドセルは箱を積極的に鳴らすタイプのスピーカーなのが影響しているかもしれません。ランドセルと一緒に椅子が鳴って相乗効果になっているような気がします。
ティラミスの代わりに袋ナットをスピーカーの下に置いた場合にはティラミス無しと有の場合の中間くらいの音になります。しかしナットに起因すると思われる付帯音が感じられます。
写真3
4. ProAcをスタンドの上に設置(写真5,6)
この場合は効果が聞き取れませんでした。
スタンドからはスパイクが上向きに出ています。ティラミスはスパイクの長さより厚いのでティラミスを使う場合はスパイクはスピーカーと接触しません。ティラミスを使わない時はスピーカーをスパイクで受けます。ProAcの場合はスパイク受けするとティラミスと同等の効果がある?ように思います。
写真5
写真6
5. Autograph miniをスタンドの上に設置(写真7)
この場合は効果が大きいです。ランドセルやProAcの場合と同様の効果です。
効果がある設置をした場合はどのスピーカーでも同じような効果があります。
写真7
以上の通りでスピーカーによって効果の出方が異なるようです。
また設置条件が悪いところほど大きな効果が得られます。
スピーカーや設置方法により違いはあるものの効果を発揮した場合には
上に書いたとおり音の重苦しさがなくなり自然で軽快な音になります。
音が喜んで飛び回っているような印象です。
レッドブルの宣伝ではないですが「ティラミス 翼を授ける」という感じです。
--- レポート以上 ---
続いてプレイヤー用のティラミスの評価を行いました。レポートの文中にもありますが私はCD用のティラミスを保有しています。今回はアナログプレイヤーでの評価を行うないました。CDで効果があったのでアナログでの効果はもっと大きいと期待していました。しかしティラミスの効果を発揮させるためにはもう少し環境を整える必要がありそうです。お借りできる期間が短かったのが残念です。
以前のブログで振動吸収ラックについて書きましたが、ティラミスの評価の際になんとかしないといけないと思ったのがきっかけです。
アクセサリで対応できる音質改善とそうでないものがあります。したがってあるレベルまでは設置環境を整えた上でアクセサリなどで音質を向上させるのがやはり現実的だと思います。
--- 以下レポート ---
昨日と今朝プレイヤー用ティラミスの試聴をいたしました。
結果をレポートさせていただきます。
自分でも初期型ティラミスをCDプレイヤー等で使っていてその効果を知って
いますが、初期型は奥行きが短くてアナログプレイヤーには使えません。
今回貸していただいたティラミスは奥行きが30cmあるのでアナログプレイヤー
にも使用できるため楽しみにしておりました。
プレイヤー関連の機器は以下のとおりです。
ターンテーブル  Linn LP-12(バルハラ)
トーンアーム    SME3009SII
カートリッジ     DENON DL-103
イコライザー     Linn LINTO
ソース
ソニー・ロリンズ サキソフォン・コロッサス
ジューン・クリスティ  fair and warmer など
結果
ティラミスを使うと音がすっきり・軽やかになります。
またシンバルやビブラフォンの乾いた感じが良くでます。
余計なノイズが無くなった結果だと思います。
そして使わない時に比べて音の定位の安定度がわずかですが高まります。
スピーカー用のティラミスを使ったランドセルで聞くボーカルは非常に魅力的です。
ティラミスの設置方法によってかなり影響を受けます。
プレイヤーの足に当たらないようにする必要があるので最初は写真1の
写真1
ように設置しました。この状態でも効果は感じられましたが写真2のように
設置した方がより大きい効果がでました。
振動系のモーターの下にティラミスが入るためだと思います。
しかしティラミスがはみ出しているので勿体ないですね。
写真2
ティラミスをはずすと音が奥に引っ込み、少しくすんだようになります。
今回評価した結果十分な効果を確認できましたが、CDプレイヤーよりもアナログプレイヤー
のほうが効果が大きいと期待していたので少し消化不良です。
効果を制約しているとしたら以下のようなことが考えられます。
・プレイヤーの足が邪魔をして最適な位置に設置できていない。
・ティラミスと接触するプレイヤーの裏板が薄く(2-3mm程度)振動してしまうのでは?
プレイヤーの足はリジッドな枠につけてあるので足のほうが有利ではないか?
ティラミスの長さがプレイヤーの奥行きより長ければリジッドな枠にも裏板にも接触
するのでもっと効果があるかもしれない。
・ラック、床とプレイヤーのサスペンションで形成される機械的な振動特性が
低周波(20~30Hz以下?)で共振していると思われる。
ティラミスを使っても共振を無くすことはできないので共振の影響が音に出ている
かもしれない。
以上のように(期待に対して)多少の欲求不満があるものの確かな改善が聞き取れました。
うまく使いこなせばさらに大きな効果が得られるのではないかと思います。
現在上記の共振の問題を改善するラックを検討しているのでそれができたら
もう一度チャレンジしてみたいと思います。
--- レポート以上 ---
上に書いたとおり全てをアクセサリが解決してくれるわけではありません。インシュレータようなアクセサリの場合、本道はオーディオ機器の設置環境を整えることだと思います。設置環境(床の強度やラックの性能など)はコストをかけても音質の向上は頭打ちになってきます。設置環境がそれなりのレベルになればアクセサリを導入すれば設置環境を改善するよりもはるかに少ないコストで音質改善をすることが可能だと思います。
その概念図を以下に示します。
アクセサリについて
ティラミスを試聴させていただきスピーカーとプレイヤーではアクセサリの効果の出方が少々違うのではないかと思いました。あくまでも今回の試聴における私の主観ですのでもっと検証する必要があります。
このようにアクセサリは環境によって効果の度合いが異なります。使ってみないと効果が判らないので貸し出していただき実際に体験できたのは本当にありがたかったです。
今回のブログはレポートの記述に合わせて”ですます調”になってしまいました、、、

DSD再生

SACDが出てから15年ほど経つが我が家にはSACDプレイヤーが無い。中途半端なプレイヤーを買ってもしょうがないと思い、かと言って高価なプレイヤーには手が出ない。そうこうするうちに時間が経ってしまった。

私は2008年頃からネットワークプレイヤーを使い始め、もうメカニカルのプレイヤーを使うことはないと思った。そんなわけでSACDプレイヤーを購入することなく今まで来てしまった。

近年USB経由でDSDファイルをDACに送りNative再生することが一般的になって来た。私も昨年キット屋のDAC SV-192SにDSDオプションを追加し音を聞いてみた。その音はPCMとは趣を異にした音であった。

音が滑らかで、空間や奥行きが感じられる音でびっくりした。急峻なディジタルフィルターが無いために位相特性が優れているためだろうか?しかしその後仕事が忙しく、再生環境が煩雑になるのでほとんどDSD再生をすることがなかった。最近はネットワーク経由でDSDのNative再生ができる機種も出てきている。技術的にはLAN経由でもUSB経由でもDSD再生が可能だが今までLAN経由の製品が無かったのは著作権がらみなのだろうか?

必要な時にいつでもDSDを再生できる環境を作りたいと思い本日PCのセットアップを行った。

PCでの再生ソフトにはfoobar2000を使うがこれはいつも使っているソフトよりU/Iが貧弱なので違和感が大きい。ジャケット写真を表示できないのでアルバムの枚数が増えると大変だと思う。

dsd

音はやはりPCMとはまったく違う。ざらつき感がなくあくまでもスムーズだ。本日は色々と試してみる時間が無かったがこれからいろんなソースを再生して音の評価や比較をしてみたい。

余談だが、PCMファイルをDSDファイルに変換するのにKORGのAudioGateというソフトを使う。これはツイッターを登録すると無料で使える。その代わりファイル変換のたびに自動的に「変換中です」とツイートする。以前Jhon Scofieldのアルバムを変換したら本人から私のツイートに返事があって感激した。

 

オルガン

松本市のハーモニーホールにパイプオルガンが設置されている。震災によりホールの天井にひびが入って閉鎖されていたが修繕して昨年オープンした。

ホールオープンに伴いオルガン講習会を再開した。これは一般の人がホールのパイプオルガンを演奏することができる講習会だ。専属オルガニストの保田先生が教えてくれる。松本市以外のオルガンを持った施設でこのような催しが行われることは非常に稀だそうだ。

家内はこの講習会に参加しオルガンの面白さに目覚めたようだ。オルガンに興味を持ったきっかけは私達の友人がオルガンを習っている先生が震災で松本に移住して来たことだ。それで家内はオルガンに興味を持ち勉強を始めた。その後家内はオルガン同好会に入り熱心に練習を続けている。

オルガンと言っても昔小学校にあった足踏みオルガンやエレクトーンなどに代表される電子オルガンから音楽ホールや教会にあるパイプオルガンまで値段もサイズも大きな幅がある。

私は子供の頃ピアノを習っていたが、私の家はピアノを買えなかったので電気オルガンを買ってもらい練習した。これは足踏みオルガンの足踏みをモーターに置き換えたものであり発音原理はハーモニカと同じリードである。それは私が幼稚園から小学校低学年の頃なので世の中にパイプオルガンがあることなど知る筈もなかった。オルガンはピアノの代用品だと思っていた。

今考えるとオルガンとピアノは全く別の楽器でありむしろピアノがオルガンの代用品であるとことがわかる。正確な歴史や事実はわからないが以下のように想像する。先ずオルガンがありそれを貴族や中産階級の家に作るは大変なので代わりにチェンバロなどが発明された。チェンバロはパイプオルガンの代用品であったがその後オルガンとは異なる個性が重用され、その個性を伸ばす方向でピアノが開発された。

一方でオルガンは教会と密接に関係しながら存続・発展した。パイプオルガンはとてもコストがかかるので電子技術の進歩によりハモンドオルガンなどが発明された。当初はハモンドオルガンは教会のオルガンの流れをくむ構造だったが様々なバリエーションを加えて進化した。

日本ではヤマハのエレクトーンなどが有名だがこれは良く見るとパイプオルガンとは鍵盤やペダルの配置が異なり独自のアレンジを加えたものだ。このアレンジはヤマハが自分で行ったものかハモンドを範としたものかはわからない。

今まで全くオルガンのことなど考えたこともなかったがこうしてみると実に奥深く不思議な楽器だ。

家内がそうこうするうちにオルガンを購入した。そして家内が待ちに待ったオルガンが昨日我が家にやって来た。

biscount

色合いは我が家にマッチしている。ピアノでは白い鍵盤が黒く、黒い鍵盤が薄い木の色だ。ペダルの音域が広い。エレクトーンでは左側だけにペダルがあり片足で弾くがオルガンはペダルを両足で弾くそうだ。家内はその違いに苦労している。またオルガンでは第一鍵盤と第二鍵盤の左右の位置が揃っているがエレクトーンでは第一鍵盤と第二鍵盤の左右の位置がずれている。(オフセットしている)何故ヤマハがこのように変更したのか?繰り返しになるがその設計思想には興味がある。

(その後家内の話によるとエレクトーンでもオプションでオルガンと同じ配置の鍵盤があるそうだ。だたペダルにはオルガンと同じ音域のものはないという。)

このオルガンの鍵盤やペダルはパイプオルガンに倣っているが当然中身は電子楽器だ。つまりパイプオルガンのU/Iを持ったシンセサイザーと言える。

説明書を見ると従来の機種はサンプリングしたパイプオルガンの音を再生していたが、この機種ではパイプオルガンの発音モデルにより音を出していると書いてある。

すなわち空気を送り音が発生するモデルとパイプにより共振するモデルをDSPで実現して音を出している。現在シンセサイザの世界がどうなっているかわからない。昔はFM音源のような実際のモデルとは異なるがそれらしい音が出る音源を使っていた。それから実際の音をサンプリングした音源に変わった。今モデリングした音源を使っているのだろうか?

シンセサイザは発音する楽器の種類が多いのでモデリングは大変だと思う。オルガンはそれだけモデリングすれば良いので比較的簡単にモデリングできると思う。しかしホール等にあるパイプオルガンを借りて傷をつけないように計測するのは大変だと思う。でもモデリングできれば、パラメータを変えていろんなホールや教会のオルガンの音を再現できる可能性がある。ただホールや教会の空間の音響特性まで含めてモデル化していないようなのでそれも含めると面白い。実際、残響の多いホールでは自分の弾いた音が聞こえてきて混乱することがある。楽器で残響まで再現してくれると本番で困らない?

以前かかわっていた音声合成でもモデルによる方法とサンプリングによる方法がある。発声モデルによる方法は品質が悪いが少ないメモリ量で実現できる。一方サンプリングによる方式はメモリ量は必要だが品質は良い。

オルガンではモデル化した方が音が良いとマニュアルには書いてあるがこれは音声合成と逆だ。私は同社のサンプリングによる機種の音を知らないのでなんとも言えないがそれは以下の理由によると思う。

①パイプオルガンのほうが発音モデルはシンプル。発音部もフィルターも一定、送風部のADSR(時間応答特性)のみ考慮すれば良い。しかし人間の発生モデルは複雑。声帯の振動も、喉から口に出るまでのフィルター特性も時々刻々と変化する。これをモデル化するのは非常に難しい。(というかMIPSとメモリを消費するのでモデリングによる手法のメリットが無くなってしまう。)

②音声合成や音声認識は世界の知恵が結集されてきた。しかし音楽に関してはそれらの技術フィールドより多少遅れた技術が投入されて来た。したがってコンピュータ業界よりは後になってモデリングの技術が入って来たと思う。特にパイプオルガンの系統の電子オルガンはあまり市場が広くないので新技術の導入には時間がかかると思う。

organ_kaori

家内がオルガンを購入したのをきっかけにオルガンについて考えてみた。そして不思議な楽器であり奥深いことを本当に感じた。私も子供の頃の電気オルガンに始まりこのオルガンに終わるか?

それとエンジニアとしてオルガンの中に入っている音源、アンプとスピーカーがどうなっているか見てみたいと思う。

確定申告

2/15は2週間連続の大雪で大変だった。先週は約50cm積もりそれが半分ほど溶けたと思ったら、今度は75cmの大雪で大変だった。一日に何度も雪かきをして体のあちこちが痛くなった。大雪により孤立した方々や渋滞・運休で何日間も身動きが取れなくなった方々に比べたら、大きな被害がなくて幸いだ。苦労されている方々は体調を崩さずになんとか乗り切っていただきたい。

今週半ばには再び南岸低気圧が来るようで心配だ。この大雪をもたらした低気圧を以前は太平洋沖低気圧と言っていたと思う。知らない間に南岸低気圧と改名していたようだ。家内は弾丸低気圧だと思っていたようだ。爆弾低気圧っていうのもあるから聞き間違えても当然か。

大雪と共に確定申告の季節になった。私は個人事業なので青色で確定申告を行っている。会計ソフトで記帳してそこから出力したデータをe-Taxで読み込むだけで良い。 ・・・筈だが

国税庁の確定申告のサイトに行きe-Taxを選択し必要項目を入力し、次にe-Tax用のデータをアップロードしようとするがアップロードのメニューが無い。

そこで昨年の日記を見るとe-Tax Web版で申告したと書いてあった。”e-Tax Web版”と検索して申告サイトにたどり着き比較的簡単な作業で申告が完了した。

国税庁のサイトからはe-TaxのWeb版へのリンクが見当たらない。そういえば昨年も悩みに悩んでから国税庁に電話してWeb版を教えてもらったことを思い出した。そしてアンケートで改善を要望したことも。しかし今年も国税庁は改善されていなかった。

Web版で申告すれば良いとわかった後で、再度国税庁のホームページに行きWeb版にたどり着こうと試みたがリンクを発見できなかった。

私は以下のようなことを勘ぐってしまう。

大金を投じて国税庁の確定申告サイトを作ったが使い勝手が悪かった。そこでWeb版を急遽作った。しかし確定申告サイトに大金を支払った手前、Web版を前面に出すわけにいかない。

e-Taxを推奨するなら利用者にとって使い易いシステムにして欲しい。

 

機器評価用CD(Jazz編)

長野県出身の渡部が複合で銀メダルを獲得して最高に嬉しい!

さて先日のClassic編に続いて機器の評価をする際に使うCDのJazz編を書いてみたい。

最近は小編成の演奏やVocalで評価することが多い。以前は自分でもSaxを吹いていたのでSaxを中心にした演奏で音を評価することが多かった。Saxの演奏が好きだがなまじ音を知っているので中々良い録音に出会えないのと、逆説的だが録音した音でどれが本当の音かわからないのがその理由だ。

(1) Ella & Louis

Era&Luis

本当に素晴らしい歌と演奏である。バックはなんとオスカー・ピーターソン、レイ・ブラウンやバッディ・リッチが参加するクァルテット。好きな曲ばかりで評価で何度聞き返しても楽しい。どの曲を聴いても良いが”ヴァーモントの月”や”アラバマに星落ちて”などを聞いている。

二人の声とトランペットの実在感を聞く。うまく再生できると口とマイクの距離が微妙に変わるのが聞こえるような気になる。このCDがうまく再生できればあとは何も要らないとさえ思う。

(2) Martin Taylor The Vallay

Mrtin tayler

私の大好きなギタリストだ。彼はスコットランドに住んでいてかつて何度か生で聞いたことがある。そのテクニックとエンターテイントにすっかりほれ込んだ。そして教会のような建物でのPA無しの生(ギターアンプのみ経由)の音を聞いているので音のイメージがつかめる。そんなこともあり評価用に使っている。

このCDにある”明日に架ける橋”は涙が出てくる。 そして最後のKWAMEはいつも演奏会でやっていた出し物。その当時のことを思い出す。すごいテクニックを面白おかしく披露する貴重なトラックだ。ここに彼のMCが入っていれば最高だが。

(3) Keiko Lee Live at “Basie”

Keiko_Lee素晴らしい演奏かつ素晴らしい録音だと思う。ベイシーという空間を思い出しながら音を聞いて判断する。

Keiko Leeは名古屋のJazzハウスで何度か聞いたが本当に味がある歌手だ、その時の記憶をもとに判断している。かなり主観的だ。

本当に音の判断は難しい。特にJazzの場合は生と言ってもPAを通すので再生音を聞いているので、生とは言え再生音を聞いている。だから生との比較は無いと思う。

上に挙げた3枚のCDを改めて見ると生に近い音が記録されているCDになっているように思う。実際には加工されていると思うが、自分の持っている生との比較がしやすいとか、声をオンマイクで取っているとか。

これらのCDを聞いていると何度再生しても楽しい。 でも音の評価は疲れます。

振動吸収ラック

20年以上前からLinnのLP-12を使っている。このプレイヤーは確かに良い。

しかし私の家では再生中に近くを歩くと針飛びを起こす。LP-12のサスペンションの共振周波数と歩いた時の床の振動がちょうど合ってしまうのだろう。今までにいろんなラックを使ってみたし置き場所を変えてみたが効果は無かった。LP-12はイギリスの家には合うかもしれないが日本の家には合わないのでは?したがってアナログ・ディスクを聞くときは針を下ろした後抜き足差し足でリスニングポイントに戻る。もっと堂々としたいものだ。

いつかはこの問題を解決したいと思っていたが会社勤めで忙しく後回しになっていた。起業してからも製品開発で忙しくまったく手付かずだった。

最近、ちょっと真面目にアナログディスク再生の評価をする機会があった。その際も針飛びで苦労した。

さすがにオーディオを生業にしているのにこれはまずいと思った。針飛びがあるということは再生周波数帯域にも影響があるので再生音でにも悪影響を与えている筈。なんとかしないといけない。

かと言って床をコンクリートにすることはできない。残念ながらアナログプレイヤーは二階に置いてある。

プレイヤーを買い換えることもしたくない。リジッド系のプレイヤーだと針飛びしないことはわかっているのだが、、 そこに逃げるのではなくこの問題に取り組みたい。

以前から針飛びを無くすラックについて、ぼんやりとアイデアはあったが具体的にどうすれば良いか全くわからなかった。しかし上のようなことを考えている時に夢の中で少し具体的なアイデアが沸いて来た。それからしばらく学生時代の機械工学や音響工学の教科書を見ながら悩んでいたが、また夢の中でアイデアが出てきた。

本日その案をもとに基本原理の検討をしてみたところ計算上はうまく行きそうなことがわかった。コストもあまりかからない。まずは試作してみようと思う。果たして理論とおりの効果が出るか?

世の中そんなにうまく行かないので一発で成功するとは思わないがうまく行けば面白い。

製品評価用CD(クラシック編)

オーディオに関わっている諸先輩方に比べるとまだまだ未熟であるが私がオーディオについて考えていることやどのような方法で製品の開発に取り組んでいるかすこしずつ書いてみたいと思う。

不定期の掲載になると思うが開発方針や考え方を理解していただくために書いてみたいと思う。反面、あまりにも考えが浅い or いい加減だと言われる心配もあり不安だが取り繕っていてもいずれぼろが出るので書きたと思う。

製品の評価にはたいていCDを使う。リピート再生するなど便利だからだ。CDをリッピングしたディジタル音源を使うこともある。

私はオーディオマニアが良く聞いている高音質盤というのにあまり興味が無く、世間にどのような高音質盤があるかも良く知らない。音質の評価では何度も聞き返すので好きな演奏のCDでないとやってられない。好きな演奏でさえ何度も聞いていると疲れる。たいていは最初に一聴した時の評価が正しいが、再現性を調べたり元のデバイスに戻したり自分の判断が本当に正しいのかを確認するために何度も聞き返す。音質評価の手法を確立しないと本当に大変だ。

それと話が少しずれるがクラシックの再生で音の定位が良いとか悪いということが言われることがある。確かに定位がはっきり聞き取れる場合もあるかもしれないが、私の乏しい経験では生演奏で定位は聞き取れないことが多い。たしかに目で見ると左にバイオリン、右にベースとなっているが最前列でもない限り音は渾然一体となり定位はわからない。そしてCDなどから定位がはっきり聞き取れるとしたらそれはマルチマイクによる録音だと思うのですこしがっかりする。そんなわけで評価に定位はあまり入らない。

さて能書きはこれくらいにしてCDの紹介を始めようと思う。

(1) Glenn Gould バッハ  6つの小プレリュード他

gg_bach

グールドと言えばゴールドベルグ協奏曲が有名であり、このアルバムはあまり有名ではないと思う。グールドが弾く小プレリュードは非常に感情が込められていて他のピアニストの演奏と全く違う。演奏の起伏やめりはりがどのように再現できるかを聞き音質の判断をしている。そして自分でもこの曲集の中の曲を弾くので(下手のなんとやら)自分で演奏する気になってタッチまで考えながら聞く。変な表現だが演奏がスイングするかどうかを聞いている。

(2) David Oistrach & Paul Badura-Skoda モーツアルト バイオリンソナタ集

Oistrach

1972年録音。良い演奏だと思う。聞いていて心にすーっと入って来る不思議な感じ。こういう演奏だと大変な音質評価も心穏やかに行うことができる。ポイントはバイオリンとピアノの定位。そしてバイオリンの音の心地よさをどう再現するか。このCDではどのトラックも同じように評価に使うことができる。珍しいCD。

(3) Wolfgang Sawallisch ブラームス ドイツ レクイエム

1983年録音でDDD。世の中でこれがどう評価されているかわからないが私にとっては名演奏であり名録音。聞くたびに涙が出てくる。何故かしらないが、、 第二楽章でオーケストラと合唱の分離がしっかりしているか?ホールの広さ感が伝わってくるか?などで判断している。

brahms requiem

(4) Rostropovich & Britten シューベルト アルペジーネソナタ

素晴らしい演奏。チェロの低域から高域までの広い音域を無理なく出すか?低域がしっかり出るか?胴鳴りの感じが自然に出るかを聞く。そしてピアノとチェロのバランスも聞く。背筋が寒くなるような演奏に聞こえるといいと思う。

arpeggione

 

(5) Wolfgang Schneiderhan モーツアルト バイオリンソナタ(MONO)

モノラル盤での評価が必要な場合もある。例えば片CHのみ手を加えてその効果を確認する場合左右比較するのが楽だ。またモノラルが中央にきちんと定位するかを確認する場合もある。その場合にはモノラル盤を使う。

再度モーツアルトの曲だが良いものは良い。ピアノとバイオリンが混濁せずによく歌うか?バイオリンの音色が刺激的にならないかなどに注意して評価する。これを聞いているとモノラルでも十分だと思う。

schneiderhan

(6) Bruno Walter, New York Philharmonic マーラー 交響曲5番(MONO)

録音はあまり良くないが第一楽章冒頭のファンファーレの実体間が表現されているかを聞く。その他にも聞き所は各所にあるがファンファーレ一発で判断するのがわかりやすい。トランペットが訴えかけてくる様子とそのわずかな反響から演奏空間(ホールでなくスタジオだと思う)を感じとれるかを聞いている。

mahler5

 

評価に使っているCDをリストアップしてみた。これらの演奏は当然生で聞いたことがないので実際にどのような音で鳴っていたかわからない。仮に生で聞いたとしてどの席で聞いたかによって音が大きく変わる。

したがって私がこれらのCDに求めているイメージと再生する音がどれだけ近いかを聞いて評価している。私がどんな音が好きかが製品の音に反映する。

個人の嗜好が極端に入らないように時折親しい人の声を録音し再生して生の声と比較する。しかし音を判断する場合の優先順位はどうしても好きな音楽を自分のイメージ通りに再生させる方が高くなってしまう。

このように作り手の個性や経験が製品には反映されるので自分を磨いていかないとならないと思う。